Fanconi症候群の所見の覚え方 〜病態を考えると楽〜【107D4】

コウメイ:今回はFanconi症候群について勉強していきます。

医師国家試験107D4

Fanconi症候群にみられないのはどれか。

a 糖尿
b アミノ酸尿
c 高リン血症
d 低尿酸血症
e 代謝性アシドーシス

目次

1)所見の丸暗記ではなく病態を理解しよう

病気の所見を覚えるときに以下のような丸暗記はダメです。

  • Fanconi症候群に見られないのは高リン血症
  • Fanconi症候群に見られないのは高リン血症
  • Fanconi症候群に見られないのは高リン血症

このように所見を呪文のように唱えるのではなく、そもそもFanconi症候群とはどのような病気かを理解しましょう。

2)Fanconi症候群とは

Fanconi症候群とは近位尿細管で様々な物質の再吸収ができなくなる病気です。具体的には

  • 糖が再吸収できない ⇒ 尿糖
  • アミノ酸が再吸収できない ⇒ アミノ酸尿
  • リンが再吸収できない ⇒ 低リン血症
  • 尿酸が再吸収できない ⇒ 低尿酸血症
  • HCO3が再吸収できない ⇒ 代謝性アシドーシス

となります。

HCO3はアルカリですので、再吸収されないと血中ではHCO3(アルカリ)が少なくなるためアシドーシスとなります。

3)アシドーシス、アルカローシスどっち?

Fanconi症候群でHCO3が再吸収されないのは分かりました。しかし、H+が再吸収されず代謝性アルカローシスになりそう」とも考えられます。

このようにアシドーシスかアルカローシスか迷ったら血液の正常pHを思い浮かべましょう。正常な血液のpHは7.4でアルカリ性です。

では、どうやってアルカリ性にするのでしょうか?「HCO3(アルカリ)を再吸収する」ことでアルカリ性にしています。つまり、正常であればH+よりHCO3を主に再吸収していることが分かります。Fanconi症候群ではそれができなくなるので、代謝性アシドーシスとなります。

このように覚えれば忘れることはないですね。

4)参考:くる病、骨軟化症

リンの吸収が低下するとくる病、骨軟化症になる可能性があります。よく出題されますので以下の記事も読んでみてください。

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