抗血小板薬(アスピリン)と抗凝固薬(ヘパリン、ワルファリン)の使い分け

コウメイ:アスピリン、ヘパリン、ワルファリンの使い分けについて質問をいただきましたので回答します。

読者からの質問

抗血小板薬のアスピリン、抗凝固薬のヘパリン、ワルファリンについて、使い分けを教えてもらえないでしょうか。

  • ヘパリンは即効性がある
  • ワルファリンは心房細動で使う

など、漠然とした知識しかありません。よろしくお願いします。

これはなかなか難しい質問です。病気によっては、何を使うべきか結論の出ていないものもありますので、今回は大事な部分のみお話していきます。まず、抗血小板薬と抗凝固薬との違いからです。

目次

1)抗血小板薬が作用する部位と病気 〜血流が早く細い血管〜

抗血小板薬の代表はアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールなどで、どれも錠剤です。

バイアスピリンの画像_バイエル
画像:https://www.bayer-hv.jp/hv/products/product.php?cd=100

抗血小板薬が効くのは細く、血流が早い血管です。具体的には冠動脈や脳血管です。病気で言えば、心筋梗塞、脳梗塞になります。

2)抗凝固薬が作用する部位と病気 〜血流が遅く太い血管〜

抗凝固薬の代表はヘパリンとワルファリンです。最近はワルファリンよりDOAC(ダビガトランやアピキサバンなど)が用いられることの方が多いかもしれません。効くのは太く、血流が遅い血管です。具体的には深部静脈や心房です。病気で言えば、深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症、心房細動です。

※心房は血管ではありませんが、太い血管と考えてください。

3)ヘパリンとワルファリンとの使い分け

ヘパリンとワルファリンとの違いですが、大きな違いは投与方法作用時間です。

ヘパリンは静脈投与し、効果発現が早く作用時間が短い

画像_ヘパリン
画像:https://med.nipro.co.jp/ph_product_detail?id=a0A10000015mCutEAE

ヘパリンはこのような容器に入っている液体です。生食などで薄め、輸液ポンプやシリンジポンプで静脈投与します。

血管に投与するので早く効果が出ます。半減期は短い(1時間前後)です。その特性から手術時にも利用されます(ヘパリン置換)。静注のため入院中しないと使用できません。

ワルファリンは内服し、効果発現が遅く作用時間が長い

画像_ワルファリンK
画像:https://med.nipro.co.jp/ph_product_detail?id=a0A10000015lIVQEA2

ワルファリンは錠剤の薬ですので外来で投与可能です。内服なのでヘパリンより効果発現までの時間が長く、半減期が長いので周術期に注意が必要です。

以上がアスピリン、ヘパリン、ワルファリンの使い分けの基本的な考え方になります。学生のうちはこの位の内容を理解しておけば大丈夫です。より詳しくは研修医になったときに専門書などで確認してみてください。

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