バセドウ病の治療の選び方【メチマゾール、プロピルチオウラシル、アイソトープ治療、甲状腺亜全摘、無機ヨード薬、β遮断薬】

コウメイ(@kokusigokaku):今回はBasedow病の治療について解説していきます。まずは問題を見てみましょう。

【第101回医師国家試験A-48より抜粋】

25歳の女性。動機と手の震えとを主訴に来院した。2か月前から疲れやすくなり、動悸を感じるようになった。意識は清明。食欲は旺盛であるが体重は変化していない。安静時に手が震える。
脈拍 112/分。眼瞼は大きく、上眼瞼縁と角膜の間に強膜が認められる。
TSH0.01、FT312(基準2.5~4.5)、FT47.6(基準0.8~2.2)

治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. β遮断薬投与
  2. 無機ヨード薬投与
  3. サイロキシン投与
  4. メチマゾール投与
  5. 甲状腺亜全摘術

正解:a、d

 

疾患としてはバセドウ病が考えらます。正解はβ遮断薬投与とメチマゾール投与ですが、無機ヨード薬投与と甲状腺亜全摘術も候補に挙がります。なぜこの2つは正解にならにのでしょうか?

目次

バセドウ病の第一選択

バセドウ病の治療にはいくつか選択肢があります。

  • メチマゾール
  • プロピルチオウラシル
  • アイソトープ治療
  • 甲状腺亜全摘
  • 無機ヨード薬
  • β遮断薬

 

この中から治療を選ぶのですが、どれを選んでもいいというわけではありません。基本的にはメチマゾールが第一選択になります。

メルカゾール
※商品名はメルカゾールです。

なぜ他の治療が第一選択にならないか説明していきます。

【プロピルチオウラシル】
治療効果はメチマゾールと同等とされます。しかし副作用がメチマゾールより多いためメチマゾールより優先されることはありません。妊娠の初期に使用されることがあります。

【アイソトープ治療】
効果発現までやや時間がかかる(週〜月単位)ため第一選択にはなりません。基本的にメチマゾールで病状を落ち着かせてから必要であれば検討されます。

【甲状腺亜全摘】
アイソトープと同様の理由で第一選択にはなりません。

【無機ヨード薬】
効果が弱いのでメチマゾールより優先されることは少ないです。ただし、副作用もほとんどないのでfreeT3、freeT4がそれほど高くない場合は第一選択として検討されます。また、メチマゾールと併用するとメチマゾールの容量を少なくできる効果があります。メチマゾールは容量が少ないほど副作用が起きにくくなるので、メチマゾールの容量が多くなる場合に検討されます。

【β遮断薬】
バセドウ病の根本的な治療薬ではありませんが、動悸や振戦などの症状がある場合に対症療法として使用されます。メチマゾールとの併用も可能です。

本患者での治療

以上をふまえ、本患者での治療を考えてみましょう。本患者は初診ですので、基本的にアイソトープ治療や甲状腺亜全摘は第一選択にはなりません。freeT3、freeT4は高めなので無機ヨード薬ではなくメチマゾールが第一選択になります。動悸や振戦がありますのでβ遮断薬も併用されます。

メチマゾールと無機ヨード薬を併用するかは悩ましいところです。ただし、今回の問題は2つ選べなので正解にはなりません。おそらく医師国家試験で併用が正解になるような問題は出題されないと思いますので、これ以上は深入りしないのが懸命です。

以上がバセドウ病の治療の選択方になります。

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