コウメイ:今回は一度解かないと勘違いしてしまう問題を見て行きましょう。
医師国家試験100F52
28歳の女性。2週前からの動悸を主訴に来院した。階段昇降時に息切れがする。体温37.3℃。脈拍120/分、整。血圧158/60mmHg。頸部に弾性硬のびまん性甲状腺腫を認める。甲状腺に圧痛はない。心雑音はない。血液所見:赤沈15mm/1時間、赤血球420万、Hb 13.0g/dL、Ht 42%、白血球6,000。血清生化学所見:TSH 0.1μU/mL未満(基準0.2~4.0)、T3 320ng/dL(基準80~220)、FT4 4.6ng/dL(基準0.8~2.2)。99mTcO4–甲状腺シンチグラムを別に示す。
治療薬として適切なのはどれか。
a 抗菌薬
b 無機ヨード
c 抗甲状腺薬
d β受容体遮断薬
e 副腎皮質ステロイド薬
正解(クリック)
診断ですが、甲状腺にTcO4シンチグラムの取り込みが見られるのでBasedow病でしょうか?
正解はBasedow病ではありません。取り込みが見られるのは耳下腺、顎下腺、口蓋、鼻です。これらの部分に取り込みが見られるのは正常です。甲状腺はそれらより下の部分です。
甲状腺に取り込みは見られません。よって、Basedow病ではありません。TSH低値、T3高値、FT4高値からは無痛性甲状腺炎か亜急性甲状腺炎が考えられますが、圧痛がないことと赤沈の亢進がないことから無痛性甲状腺炎の可能性が高いです。治療は動悸の対症療法としてβ受容体遮断薬を使用します。抗甲状腺薬は使用しません。
以上、勘違いしやすい画像でした。皆さんは大丈夫でしたか?
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