臨床実習の基本的な考え方

コウメイ:当院では医大生を受け入れ実習を行っています。主に回診中に色々とお話するのですが、その中でタメになることをブログでシェアしていきたいと思います。

学生が受け持つ患者毎に話す内容は異なりますが、毎回伝えることは以下の通りです。

各科の常識を知る

臨床実習の目的は色々ありますが、各科の常識を知ることが大きいと思います。

例えば、開業医から紹介された肺炎の患者を入院で受け持ったとしましょう。前医からの紹介状には以下のような記載があります。

前医からの紹介状

元々、当院で高血圧と糖尿病の治療をしておりました。数日前から発熱があり、レントゲンを施行したところ肺炎が疑われ紹介させていただきました。常用薬は以下の通りです。

  • ミカルディス錠40mg 1錠 分1朝食後
  • ランタス朝80単位

ご加療よろしくお願いいたします。

 

学生実習のときはあまりすることがないと思いますが、入院患者を受け持つと持参薬を継続するか中止するか判断しなければいけません。本患者ではミカルディス(ARB)とランタス(インスリン)が使用されています。特別中止する必要がなければ継続することが多いのですが、この場合どうしますか?

基本的には継続です。ただし、ランタス朝80単位というのは異常です。通常インスリンは1回あたり単位〜数単位使用するのが常識です。かなり多い方でも40単位とか50単位です。80単位というのは多すぎです。おそらく朝8単位の記載ミスと思われます。この常識を知らないと、「とりあえず同じ量で継続」という指示を出し、低血糖で意識がなくなってしまうでしょう。常識を知っていれば前医に確認することができます。

自分はある科を志望していたとしても、受け持つ患者は他科の疾患を持っていることが多いので、他科の常識を知っておくことは大切です。

ベッドサイド↔教科書

臨床実習のあり方については色々な考え方があり、「できるだけベッドサイドにいて患者さんの話を聞くのがよい」との意見を聞くことがあります。

この意見に私は賛成ではありません。知識のない医大生が患者の話を丸1日聞いたところでほぼ治療には結びつかないですし、「この病気なら○○について聞くのが常識」という内容も聞けていないでしょう。

何も知らずに丸1日ベッドサイドにいるより、1時間教科書を読んでから30分話す方がよっぽどきちんとしたことを聞けます。実習をしつつも、教科書で調べる時間・機会があるのがよいです。もちろん、1日中教科書だけを読んでいても意味がありませんのでバランスが重要です。

マニュアルを携帯する

先程、教科書を読み知識を身につけることが大切と言いました。しかし、疑問がある度に教科書を読みに医局や控室に戻るのも大変です。病棟でも調べられるように白衣に入るマニュアルを携帯しましょう。今ならスマホやiPad miniもお勧めです。

以上が実習に来た学生に毎回伝える内容です。他にも色々伝えたいことがありますので、また書きたいと思います。