コウメイ:第108回医師国家試験に合格されたタカオ先生より、後輩の皆さんにメッセージをいただきました。とてもためになる内容ですのでぜひ参考にしてみてください。
1)部活中心の生活
私はよくある部活中心の大学生活をしており、4年生まで期末試験直前しか勉強しておらず、5年生になっても実習が忙しくじっくりと勉強をしていなかったためこの1年間は大変でした。CBTもぎりぎり合格であったため一応5年生ごろから国試に向けて危機感を感じ、5年生用のビデオ講座は週末に見たりしていましたがQBなどはしていませんでした。
2)ビデオ講座は見てみたが・・
部活をやめたのが6年の4月でそこからひたすら勉強部屋で勉強していましたが、ただtecomのビデオ講座を見てノートを作っていました。私の大学は4月から5月半ばまで講義、5月半ば~6月は実習、7月いっぱいまで講義でそこから自習という形でした。
ずっと部屋にこもって勉強して三苫先生が言うように夏までにメジャーと産婦・小児まで見ましたが何が大事なのかまったく全体像が見えないまま夏休みになり、マッチング対策に追われ(筆記試験ありの病院を受けた)秋になり、あっという間に卒業試験の期間になってしまい再試験になってしまいました。
3)3人での再試験
自分なりに真面目に勉強していたはずですが、周りとの差は拡がるのを感じていました。夏や秋の最初までは合格圏内にいましたが、秋から段々とみな本格的に勉強をはじめ3人しかいない再試験も受け卒業試験も落ちて卒業できるかすら不安なまま、年末になり国試勉強を続けておりました。
振り返ると4年生からずっと一夜漬けの詰め込み勉強しかしておらず、理論建てて覚えることもせずがむしゃらに体力勝負でやってここまで来たので非常に大変でした。勉強部屋の人たちが優秀過ぎて劣等感を感じ、苦しくなってきたため途中から一人で勉強することも多くなりそこからさらに成績も伸び悩んできました。
個人的にはひとつの問題に対し、選択肢の単語レベルで自分で納得するまでイヤーノートなりで調べる勉強が一番頭に残ると思ってやり始めたのが国家試験本番の2週間前くらいからでした。
それまでは上記のように膨大な量に圧倒され丸暗記に走ってしまい成績が伸び悩んでいました。いろんな方が言われているようにつながりを持って頭に入れることで初めて使える知識になると思うのですが、勉強方法に関しては結局最後までわかりませんでした。
4)一生懸命やる
ここからは精神論ですが個人的には自分が満足できている努力ができているかを指標にしていたため、遠回りにはなりましたが(枝葉の勉強にも時間を使っていたため)自分なりのベストが尽くせればいいと思っていました。
国家試験はいつかは受からなければいけませんが、一生懸命やってだめなら仕方ないくらいの気持ちで最後はやっていました。事実私の大学で国試に落ち続けている人は長年の中で一人しかおらず、ほかの人はみなほぼ一浪までで受かっています(あとになってわかったことですが)。
医学部は入った時点で相当セレクションがかけられているので、そうは思えないかもしれませんが入って6年生までくればほぼ医者になれるのは確定しているも同然だと考えて差し支えないと思います。
5)基本的な問題をしっかりと
また国試は一般・臨床は相対評価なので競争の側面があります。特にみなが正解している問題(特に正答率90%以上の問題)を落とすと大変不利になるため落とせません。逆に正答率80~90%以上の問題をすべて正解すれば合格に大きく近づくと思われます。
これも後から知ったことですが、国試はクラスのどんなに優秀な人でも100点は取れない問題(学年トップクラスでも8割超えるくらい)ですので難しい問題は捨てていいというか皆解けません。
誰もが解ける基本的な問題を血眼になって穴がないように勉強するのが正統派の勉強だと思われます。ありがたいことに先輩に伺った勉強法ですが、直近期は模試の正答率80%以上の正解率で自分が間違った問題は解けるようにしておいたほうがいいと思います。
基本が抜けているのが一番怖いので、できるだけ模試を受けて何度も復習するなり問題集を何周もするなりして大きい穴をなくすことが大事と思われます。
targetなど予備校の直前講座はよくまとまっていて、友達は私と同じくらいの成績でしたが12月からそれだけやりこなして国試に見事合格しました。
6)先輩に相談しよう
コウメイさんには直前期の12月後半からメールで質問をさせていただきました。国家試験は内容が膨大なので細かいところは捨てる勇気が大事ですが、私はそれが苦手でした。勉強の仕方から自信がなかったので、内容や勉強の仕方を教えていただきました。
勉強法等困ったらすぐに聞きやすい先輩等に相談するべきだと思います。ましてや私は一回留年しており、勉強について相談できる友達も少なかったためすぐに質問できる人がいるのは大きかったです。
7)モチベーション
段々皆が成績を伸ばして、最後の模試と最後から二番目の模試は偏差値30を割ってしまい落ちるとしか思えませんでした。自分なりに一生懸命やっていたので落胆は強くモチベーションというか闘志を保ち続けるのはすごく難しかったですが親や祖父母のために、採用してくれる病院のために最後までやりきろうと思い試験に臨みました。
8)直前期の勉強
卒試が再試験になったためselectを1周するのが11月末、そこから必修・公衆衛生のビデオ講座とQB、産婦人科QBをやり12月半ばからtargetをやって結局targetは本番までメジャーまでしか2周できず(途中から予習もしなくなった)、必修QBも2周目の途中、公衆衛生は3周目の途中という予定していた量はこなせず本番になりました。
私のように模試ではすべて正答率6割前後を推移していた者でも直前期は回数別過去問を腕試しで解くと正答率は直近3年間どれも70~75%、必修も8割は超えており合格基準を上回る点数は取れていた(毎年5~10%位上ですが)ので少しだけ希望は見えてきました。コウメイさんもおっしゃっておられたように直前は一番伸びる時期と思われます。
9)結果が全てではない
個人的な思いとしては、国試はマーク試験でわからない問題・解けない問題はだれでも必ず何個もあるため最後は運の要素もあると思います。私も実はあと1問でもう一年というところでしたので、実力と関係ない部分があります。
まだ社会に出ておらず、半人前なため批判を受けるかもしれませんがコツコツと一生懸命自分を信じられる努力ができていれば合格しようと不合格であろうと努力したこと自体に価値があるのではないでしょうか。人生結果が全てではないと私は思っています。
国試は私より成績の良い人も落ちていますし、一発勝負なのでやってみないとわかりません。私は自己採点が微妙だったため発表まで受かっていると思えなく、予備校に通う心の準備もしていました。結果ぎりぎり合格であったため落ちた人より優秀であるとはとても思えないですし、これからそのようなぬぐえない劣等感を含め勉強の面でも苦労すると思います。
10)医師として
でも運悪く落ちた人や医者になれなかった多くの人の悔しい気持ちを考えてこれから頑張りたいと思います。また一年間早く社会に出て、病気で辛い思いをしている方々を励ましたり自分だけでないほかの人のためを考えて労われる時間が増えたことは嬉しいことであると思います。
医師になって働き始めると人間関係をはじめ大変なことはすごく多いでしょうが一人前になれるよう、苦しく辛いときもこの1年間で身につけた忍耐力を活かしできるだけ前向きに精一杯努力していきたいと思います。
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