コウメイ:本ブログの読者の方に『これだけ心電図』をレビューしていただきました。買おうか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
※プレゼント企画が元になっております。簡単に言えば献本させていただきレビューをお願いしました。正直に感想を教えていただくようお伝えしましたが、このような状況で本書を酷評する方はいないと思いますので、そこは差し引いてご覧ください。
※レビューふまえ、最後にタメになることを書きます。
1)名古屋大学5年生からのレビュー
1)まずは率直な感想を教えてください。
色使いが美しい本で見やすかったです。
2)今までに心電図はどのように勉強しましたか?
『Dr.東田の新わかる!シリーズ心電図』を図書館から借りて勉強しました。
3)読むのにかかった時間を教えてください。
2日(4時間)です。
4)医大生にとって理解できる内容でしたか?
はい、わかりやすくまとまっていました。
5)一番お勧めのページがあれば教えてください。
p.66のAf、AF、PSVTの見分け方がわかりやすかったです。
6)読む前と読んだ後で心電図の印象に変化があれば教えてください。
心電図は概ね理解していた気でいましたが、本書を通して難しさの片鱗を覗いた気がしました。予想以上に難しいのだなというのが読後の感想です。例えば、ST上昇は心筋梗塞やブルガタとしか関連付けて覚えていませんでしたが、早期再分極やST低下のミラーなどもあるようで、複雑であると感じました。
7)本書以外に心電図の本は持っていますか?また、その本を最後まで通読できたかも教えてください。
持っていません。
8)その他、何でも構いませんので感想をお願いします。
心電図は、1年ほど前に上記の東田先生の著書を借りて勉強しました。波形を見て何の病気かを当てる訓練は、この本で十分にできたように思います。ただ、DVD講義形式での本だったため、紙にうまくまとまっているわけではありませんでした。先生のご著書は、カラー印刷でとても見やすくわかりやすくまとまっていましたので、とても勉強になりました。
CBTや国試の問題を繰り返し解いていると、答えやパターンを覚えてしまっているのか、本質的に理解していなくても何となく解けてしまうことが多々あります。先生のご著書は、「解ける」と「分かる」の間を埋めてくれる存在だと感じました。例えば、ST上昇は厳密に分かっていなくても、ここら辺が上がってるんじゃないか、という感じで問題は解けてしまいます。本書で解説があったJ点などは全く意識していませんでした。
他にも、勉強になった箇所は多くありました。例えば、心房細動と心房粗動、心停止と心静止、頻拍と頻脈、洞調律、QRSの命名法など、今更聞くのも憚られるし調べるのも面倒という内容に関して、定義を曖昧にせずに明確に解説されていたこと。脚ブロックの解説、2枝ブロック、3枝ブロック、洞房ブロックの違いなどがとても分かりやすかったです。WPW症候群の解説がうまくまとまっていて、改めて頭の中を整理できました。また、オレンジ色のコラムがためになりました。
波形が多く載っているので、気になったときに参照できるように、常に手元に置いておきたい一冊だと感じました。先生が主張されているとおり、この本に書かれている内容以上の理論的説明は基礎医学の勉強を抜け出した5年生以上にとってあまり意味がないと思います。
2)最後にコウメイから一言
コウメイ:Af、AF、PSVTの見分け方は大事です。研修医になり当直やERを担当するようになるとより気になるでしょう。当直やERでは心筋梗塞の鑑別も重要です。ミラーイメージがあれば心筋梗塞の可能性がかなり高くなりますので、覚えておくべき知識です。
※日本循環器科学会では心房細動はAF、心房粗動はAFLと定めています。
CBTや国試の問題では数パターンしか出題されないので、何度か繰り返すとよく理解していなくても解けてしまいます。ただし、臨床で診断しなければいけない心電図はそれより多いですので、少なくとも研修医として当直やERを担当する前には勉強していただきたいです。
他の方のレビューにもありますが、ST上昇、心房細動と心房粗動、心停止と心静止、頻拍と頻脈、洞調律、QRSの命名法などの定義をきちんと確認することは大切です。
ブロックは分類するのではなく、そもそもブロックとは何かということを理解するのが大事です。WPW症候群は「δ波がある」とだけ覚えるのではなく、δ波が起こる機序を理解するとよりよいです。
コラムは各疾患同様、内容や掲載位置を徹底して考えて作成しました。お役に立てて何よりです。
最近はよく「丸暗記ではなく病態を理解しなさい」ということが言われます。私も概ね同意なのですが、病態が複雑すぎたり、そもそもよくわかっていない疾患もあります。これらの疾患について調べ始めると、あっという間に1時間、2時間が過ぎて、結局よくわからなかったということになってしまいます。
よって、「病態を理解すべき疾患は丸暗記をするのではなく病態を理解すべき。ただし、中には病態が複雑すぎたり、そもそもよくわかっていない疾患があるので、その場合は深入りしすぎないのがよい」がよりよい表現となります。ただし、初学者はこの区別が非常に難しいです。本書はそのような点にも配慮していますので、無駄に時間をかけることなく効率的な学習をすることが可能です。
お忙しい中、本当にありがとうございました。読者の皆様もぜひ『これだけ心電図』で勉強していただければ幸いです。
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