【眼科1】視力検査の読み方と度数の合わせ方 〜近視、遠視〜

※全18回です。目次はこちらです。

コウメイ:皆さんが将来、眼科医になるかは分かりませんが、どの科の医師でも視力位は読めないと恥ずかしいので、視力の読み方についてきちんと理解しましょう。

視力はこのように記載されます。

左眼:0.2(1.2×S-1.0D=C-0.25D A×90°)

どの数字が何を意味しているか分かりますか?左の数字から見ていきましょう。

目次

1)視力の読み方

視力の記載(視力の読み方)

① 左眼か右眼かです。これは大丈夫ですね。

② 最初の数字は裸眼視力です。この方は0.2です。

③ 次の視力は矯正視力です。1.2と分かります。矯正視力が1.2とは分かりましたが、ように矯正したかが気になります。それを次に書きます。

④ ×は接続記号なのであまり気にしなくてよいです。Sが大事です。Sは球面レンズを意味します。分かりやすく言うと、普通のレンズのことだと思ってください。

⑤ 球面レンズの度数を書きます。この時、数字の大きさだけではなく、+か−かも大事です。+なら遠視、−なら近視用のレンズとなります。単位はD(ジオプトリー)です。

⑥ Cは円柱レンズです。分かりやすく言うと、乱視用のレンズになります。Cの前の=はただの接続記号なので気にしなくてよいです。

⑦ 円柱レンズの度数です。単位はD(ジオプトリー)です。円柱レンズも+、−があるのですが、こちらはあまり気にしなくてよいです。

⑧ 円柱レンズの軸です。円柱レンズはだた見てもよく見えません。その人にあった位置(0°〜180°)に合わせる必要があります。その位置のことを軸と言います。Aはaxisで軸のことで、単位は度(°)です。

2)近視の度数の合わせ方

視力の読み方が分かったところで、次に度数の合わせ方について実際の過去問で考えてみましょう。

医師国家試験107I47

20歳の男性。右眼の視力不良を主訴に来院した。前眼部、中間透光体および眼底に異常を認めない。眼圧は正常である。右眼の視力検査の結果を示す。

医師国家試験107I47_画像_視力検査

右眼の屈折はどれか。

a 0.25Dの遠視
b 正視
c 0.50Dの近視
d 1.00Dの近視
e 1.25Dの近視

まずは視力が一番良いところに注目します。

医師国家試験107I47_画像_視力検査_解説(近視の度数)

一番数の大きいレンズを選びます。絶対値ではなく、数であるところに注意してください。この中では、−0.50Dが一番数が大きいですね。ですので、これがこの方の度数となります。−なので近視ですね。この方は0.50Dの近視となります。

※−(マイナス)は記載しません。

3)遠視の度数の合わせ方

医師国家試験102G20

自覚的屈折検査において、矯正レンズを用いずに視力検査表の1.0の指標が判読できた。眼前に+1.0Dのレンズを置いたところ同様に判読できたが、+1.5Dのレンズを置くと像は不明瞭になった。再度+1.0Dのレンズを眼前に置いて、さらに-0.5D円柱レンズを付加して水平、垂直および斜めの軸で検査したが、見え方は良くならなかった。この眼の屈折はどれか。

a 正視
b 近視
c 遠視
d 不正乱視
e 混合乱視

今回は先ほどと違って表が載っていないので、自分で作りましょう。裸眼の視力は、0Dのレンズを使ったことと同じなので、

+1.5D・・よく見えず
+1.0D・・視力1.0
±0D・・視力1.0

となります。先ほどと同様に一番視力のよい部分に注目します。

医師国家試験102G20_画像_視力検査_遠視の度数

数の大きいレンズを選びます。この方は+1.0Dですね。よって、1.0Dの遠視となります。円柱レンズ(乱視用)を用いても、見え方が良くならなかったので特に乱視はなさそうです。

以上で視力の読み方及び度数の合わせ方の説明は終わりです。次回は網膜剥離について説明していきます。

目次