【眼科15】ウイルス感染症 〜咽頭結膜炎、急性出血性結膜炎【107E35、106I56 】

※全18回です。目次はこちらです。

コウメイ:今回は眼のウイルス感染症について説明していきます。早速問題を見てみましょう。

目次

1)文字だけでなく実物(画像)を確認する

医師国家試験107E35

ウイルスが原因となるのはどれか。2つ選べ

a 咽頭結膜熱
b 春季カタル
c 封入体結膜炎
d 巨大乳頭結膜炎
e 急性出血性結膜炎

正解は咽頭結膜熱と急性出血性結膜炎ですが、いつも言っているように文字だけ覚えても意味がありません。できるだけ実物を確認しましょう。

咽頭結膜熱

医師国家試験100D4_画像_咽頭結膜熱
画像:医師国家試験100D4

急性出血性結膜炎

急性出血性結膜炎_CC BY-SA 3.0
Acute hemorrhagic conjunctivitis, James Heilman, CC BY-SA 3.0

正解以外の選択肢もきちんと調べることが重要です。春季カタルとはアレルギーのことです。

春季カタル

医師国家試験101G55_画像_春季カタル
画像:医師国家試験101G55

封入体結膜炎

封入体結膜炎はクラミジアが原因です。クラミジアはウイルスではありません。

封入体筋炎(クラミジア結膜炎)_CC BY 3.0
Chlamydial-conjunctivitis, Jonathan Trobe, M.D. CC BY 3.0

巨大乳頭結膜炎

巨大乳頭結膜炎とはコンタクトレンズなどが原因で起こります。

巨大乳頭結膜炎_CC BY-NC-ND
Giant Papillary Conjunctivitis, Jordan M. Graff, MD, CC BY-NC-ND

2)流行性角結膜炎の所見

次に流行性角結膜炎について説明していきます。これはよく出題されます。なぜかというと、めちゃくちゃ感染力が強いからです。きちんと対処しないと、他の患者に移ってしまい大変なことになります。眼科の中では要注意な病気であるのでよく出題されます。問題を見ていきましょう。

医師国家試験106I56

20歳の男性。右眼を開けられないことを主訴に来院した。今朝、起床時に右の開瞼が困難であることに気付き、その後も改善しないため受診した。10日前から、同居の弟の両眼に同様の症状がみられているという。体温36.2℃。流涙を認める。顔面の写真(A、B)を別に示す。

医師国家試験106I56_画像A_流行性角結膜炎の顔面の写真
医師国家試験106I56_画像B_流行性角結膜炎の顔面の写真

この疾患でみられないのはどれか。

a 眼脂
b 偽膜形成
c 虹彩毛様体炎
d 点状表層角膜症
e 耳前リンパ節の圧痛

右眼が赤くなっており、弟にも同様の症状があるので流行性角結膜炎と考えられます。よって、正解はcの虹彩毛様体炎です。ただ、

流行性角結膜炎には虹彩毛様体が見られない
流行性角結膜炎には虹彩毛様体が見られない
流行性角結膜炎には虹彩毛様体が見られない

と、「見られない」ものだけ覚えても意味がありません。「見られるもの」も覚えましょう、

眼脂、偽膜形成、点状表層角膜症、耳前リンパ節の圧痛が見られます。

偽膜

偽膜と点状表層角膜症とはちょっと分かりにくいので説明します。偽膜は下の写真のように炎症の結果できるものです。

流行性角結膜炎の偽膜_CC BY-NV-ND
Removal of pseudomembrane secondary to EKC., Andria M. Pihos, CC BY-NC-ND 4.0

虹彩毛様体炎

色々な症状の出方がありますが、前房蓄膿が有名ですね。

医師国家試験111I77_画像_前房蓄膿(ベーチェット病、Behçet病)の前眼部写真
画像:医師国家試験111I77

※前房蓄膿の画像のベーチェット病が原因のものです。

点状表層角膜症(SPK)

点状表層角膜症は角膜の表面に小さな傷ができるものです。角膜の小さな傷をただ見てもなかなか分かりにくいので、眼にフルオレセインという蛍光色素をつけて観察します。傷がある部分にはフルオレセインが溜まり、細隙灯顕微鏡で青色の光を当ててみると黄色く光って見えます。傷がある部分にはフルオレセインが溜まり、細隙灯顕微鏡で青色の光を当ててみると黄色く光って見えます。

医師国家試験98D8_画像_点状表層角膜症(SPK)_改変
画像:医師国家試験98D8より改変

※点状表層角膜症の画像はSjögren症候群が原因のものです。

以上、ウイルス感染症について説明しました。次回は「老眼、ドライアイ」について説明していきます。

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