正しい輸液の方法 | 5%ブドウ糖液と細胞外液との使い分け2

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:今回は「正しい補液の方法」の続きを解説していきます。

前回の記事はこちらです。
正しい輸液の方法 | 5%ブドウ糖液と細胞外液との使い分け

 

まずはもう一度問題を見てみましょう。

第107回医師国家試験B28

5%ブドウ糖液の輸液が適切となる病態はどれか?

  1. 尿崩症
  2. 低張性脱水
  3. 等張性脱水
  4. 急性副腎不全
  5. ADH分泌不適合症候群<SIADH>

 

aから順に解説していきます。

a.尿崩症の補液

ADHの分泌が低下するため、薄い尿が大量に出る病気です。その結果、血液は濃く(高Na)、量は少なくなります。さ、どうすればいいでしょうか?

 

学生B:血液を薄くする必要があります。そのためには自由水(真水)を補充すればよいので、5%ブドウ糖液を点滴してあげればいいと思います。

5%ブドウ糖液

 

コウメイ:その通りです。

自由水?真水?何言ってんの?と思われた方はぜひ前回の記事をお読みください。

 

b.低張性脱水の補液

コウメイ:低張性脱水とは何ですか?

 

学生B:血液が薄い(低Na)脱水ことです。

 

コウメイ:その通りです。ですので、これ以上薄くしてはいけません。5%ブドウ糖液を点滴してはいけません。

細胞外液(必要に応じて細胞外液より濃いもの)を点滴する必要があります。前回も言いましたが、細胞外液という名前の商品はありませんので、生理食塩水やソルアセトFを点滴してあげてください。

ソルアセトF

 

c.等張性脱水

等張性とは血液が濃くも薄くもなっていないということです。あえて濃くしたり、薄くしたりする必要はありません。血液と同じ濃度である細胞外液を使ってください。

ソルアセトF

 

d.急性副腎不全

コウメイ:急性副腎不全では血液はどうなるか知っていますか?

 

学生B:電解質コルチコイドが低下するため、Naが低下すると思います。

 

コウメイ:そうですね、正解です。血液量はどうでしょうか?

 

学生B:量はどうなるのかな?

 

コウメイ:Naが少なくなるので、血液量も少なくなります。これは基本的なことなので覚えておきましょう。以上をまとめると、急性副腎不全では血液はNaは少なく、量も少なくなります。細胞外液を点滴しましょう。

ソルアセトF

 

e.ADH分泌不適合症候群<SIADH>

コウメイ:SIADHはどんな病気でしょうか?

 

学生B:ADHが必要以上に分泌され、水の再吸収が多くなってしまう病気です。その結果、血液は薄く(低Na)なります。ですので、細胞外液の点滴が必要ですね(完璧な答えだな!!)。

 

コウメイ:おしいっ。水の再吸収が増え、血液が薄く(低Na)なるところまではあっています。しかし、量は減っていません。むしろ増えています。そこに点滴をしたら血液量がさらに増えてしまいます。

 

学生B:別に血液量が増えたっていいじゃないですか?血液が多い方が酸素や栄養を多く運べて良さそうな感じがします。

 

コウメイ:もちろん、ある程度の量は必要なのですが、多ければいいってもんじゃありません。うっ血性心不全を考えてみましょう。これは必要以上に血液量が増えた状態です。

必要以上に増えた血液は血管内にとどまることができず、肺へ漏れてしまいます。つまり肺水腫になってしまいます。肺水腫は致死的な状態です。これは避けたいです。

 

学生B:それではSIADHの治療はどうしたらいいのですか?

 

コウメイ:水制限です。具体的には一日にとる水分を700〜800mLにします。以上で解説は終わりですが、補液の原理、特に5%ブドウ糖液の使い方について理解できたでしょうか?

補液については今後もとりあげていきたいと思います。楽しみにお待ちください。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)