Quick Check(血液ガス)の使い方その4:症例3、4

 

症例3 呼吸性アシドーシス+代謝性アルカローシス

78歳の男性。冬に自宅に倒れていたところを発見され救急搬送。酸素マスク5L開始されている。

pH 7.33、PaO2 191mmHg、PaCO2 53mmHg 、HCO3 29mEq/L、Na 135mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 97mEq/L、Lac 0.8mmol/L、Glu 199mg/dL. Alb 正常範囲.

 

1.アシデミアかアルカレミアか?

pHが7.35以下なのでアシデミアです。

 

2.呼吸性か代謝性か?

PaCO2が症状しているので呼吸性です。HCO3の低下はないので代謝性ではないでしょう。

 

3.代償は適切か?

ΔPaCO2=53-40=13なので、HCO3の代償は急性なら0.1×13=1.3、慢性なら0.35×13=4.55です。実際の変化量は29-24=5です。

仮に急性ならHCO3が上がり過ぎであり、代謝性アルカローシスが別に存在します。慢性なら他に異常はありません。急性か慢性かは病歴や他の検査から考えます。

 

4.AGと補正HCO3

AG=135-97-29=9であり、開大はありません。AGの開大がないため補正HCO3の必要はありません。

 

5.鑑別を考える

以上から、急性呼吸性アシドーシス+代謝性アルカローシスもしくは慢性呼吸性アシドーシスと診断します。病歴や他の検査からさらに鑑別していきます。今回は意識障害による急性呼吸性アシドーシスに有効循環血漿量の低下が代謝性アルカローシスの原因ではないかと思われます。慢性呼吸性アシドーシスの可能性も頭に入れ治療を進めていきます。

 

症例4 代謝性アルカローシス+呼吸性アルカローシス

70歳の男性。心窩部痛で救急搬送。酸素マスク5Lが開始されている。

pH 7.55、PaO2 191mmHg、PaCO2 35mmHg 、HCO3 29mEq/L、Na 142mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L、Lac 0.9mmol/L、Glu 100mg/dL. Alb 正常範囲.

 

1.アシデミアかアルカレミアか?

pHは7.45以上なのでアルカレミアです。

 

2.呼吸性か代謝性か?

PaCO2の低下、HCO3の上昇がありどちらもアルカレミアの原因と考えられます。この場合、変化率(変化量/正常値)を求めます。PaCO2:(40-35)/40=0.045、HCO3:(29-24)/24=0.21となりHCO3がメインの病態と考えます。

 

3.代償は適切か?

HCO3の変化は29-24=5であるので、予想されるCO2の変化は0.5〜1.0×5=2.5〜5です。よって、PaCO2は42.5〜45mmHgになっているはずですが、実際は35mmHgであるので代謝性アルカローシスもあることが分かります。

 

4.AG、補正HCO3

AG=142-102-29=11であり開大はありません。AGの開大がないのでHCO3の補正は必要ありません。

 

5.鑑別を考える

以上から呼吸性アルカローシスと代謝性アルカローシスと診断できます。病歴、血液検査、画像検査から病気を絞り込みます。今の段階では病気の特定は難しいです。心窩部痛なので心電図や腹部CTを行うことになるでしょう。