Quick Check(血液ガス)の使い方その3:症例1、2

前回、酸塩基平衡の6つのステップを勉強しました。情報としてはあれ以上もことはもうないのですが、少し練習しないと実際の場面で使いこなれないかもしれません。6つの症例を準備しましたので練習していきましょう。

 

症例1 呼吸性アルカローシス

32歳の女性。四肢がしびれるため救急搬送。呼吸数30/分。

pH 7.55、PaO2 110mmHg、PaCO2 25mmHg、HCO3 22mEq/L、Na 138mEq/L、K3.9mEq/L、Cl 105mEq/L、Lac 0.7mmol/L、Glu 130mg/dL. Alb 正常範囲.

 

1.アシデミアかアルカレミアか?

pHが7.45以上なのでアルカレミアです。

 

2.呼吸性か代謝性か?

PaCO2の低下があり呼吸性アルカローシスです。HCO3は正常範囲でありアルカレミアの原因にはならなそうです(AGがあった場合、再評価が必要です)。

 

3.代償は適切か?

ΔPaCO2=40-25=15なので、急性なら0.2×15=3、慢性なら0.5×15=7.5が予想されるHCO2の代償性変化です。32歳の女性が慢性的に呼吸性アルカローシスになっているとは考えにくいのでおそらく急性でしょう。となると、HCO3は正常から3mEq/L位の低下なら正常の代償となります。

HCO3の変化は24-22=2なので正常の代償範囲内でしょう。予想の代償性変化と実際の変化の値が±2位は許容範囲と考えられます。

 

4.代償以外は?

代償以外の異常はありません。

 

5.AG

AG=138-105-22=11で正常範囲内です。

 

6.補正HCO3

AG正常なのでHCO3の補正は必要ありません。

 

以上から、呼吸性アルカローシスがあることが分かります。なお、A-aDO2=150-25/0.8-110=9であり、A-aD02は正常です。p8の鑑別表を見ながら病歴に合う病気を鑑別します。

※血液ガスの練習用の症例なので詳細は病歴は記載しませんでした。病気を特定するのは難しいです。実際の場面ではもっと詳しく病歴を聞いたり、血液検査をしたり、胸部レントゲンをとったりして病気を特定します。症例2〜6も同様です。

 

症例2 AG開大代謝性アシドーシス

75歳男性。透析を受けている。発熱があり軽度意識レベル低下。酸素投与はされていない。

pH 7.25、PaO2 98mmHg、PaCO2 22mmHg、HCO3 9.6mEq/L、Na 139mEq/L、K 4.8mEq/L、Cl 103mEq/L、Lac 10mmol/L、Glu 104mg/dL. Alb 正常範囲.

 

1.アシデミアかアルカレミアか?

pHは7.35以下なのでアシデミアです。

 

2.呼吸性か代謝性か?

HCO3は9.6mEq/Lと低下しています。代謝性アシドーシスです。HCO3の上昇はなくアシデミアの原因ではなさそうです(AGがあった場合、再評価が必要です)。

 

3.代償は適切か?

ΔHCO3=24-9.6=14.4です。よって、予想されるPaCO2の代償は1.0×1.3×14.4=14.4〜18.33です。PaCO2の変化は40-22=18であり予想の範囲内です。

 

4.代償以外は?

代償以外の異常はありません。

 

5.AG

AG=139-103-9.6=26.4でありAGは開大しています。

 

6.補正HCO3

AGの開大があるのでHCO3の補正が必要です。補正HCO3=9.6+(26.4-12)=24であり、正常範囲です。

 

以上からAG開大代謝性アシドーシスがあることが分かります。乳酸アシドーシスや腎不全が鑑別に挙がります。なお、乳酸アシドーシスは1つの病気ではなく、何かの病気の結果です。何が原因で乳酸となっているかさらに原因を特定することが大切です。発熱があるので敗血症の検査は必須です。