肺血栓塞栓症で梗塞(壊死)は起こるのか?

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:読者の方から肺血栓塞栓症について質問をいただきました。

読者からの質問

QBの解説に「肺動脈の閉塞で肺実質が凝固壊死巣を形成した時に肺梗塞という」と書いてありました。 しかし、三苫先生は「肺の栄養血管は気管支動脈であって、肺動脈は機能血管だから肺塞栓では肺梗塞は起こらない」とおっしゃっていました。 どちらが正しいのでしょうか?

 

肺血栓塞栓症の10%が肺梗塞に

結論から言うと、肺梗塞は起こります

 

学生B:え~、コウメイ先生、以前の記事で肺動脈が閉塞しても、肺梗塞は起こらないって言ってたじゃないですか。

 

コウメイ:前回は、肺動脈ではなく気管支動脈が肺の栄養血管であることを強調したかったためそのように説明しました。すいません。

気管支動脈が肺の栄養血管であるのは間違いないのですが、肺動脈が閉塞しても肺の壊死、つまり肺梗塞が起こるようです。肺血栓塞栓症の10%が肺梗塞になると言われています。

 

肺塞栓症の症状

先程、肺梗塞になることもあると説明しましたが、それは塞栓子が大きく重症の場合です。塞栓子が小さい場合は、症状は起きず自然に溶解されます。

 

なぜ梗塞(壊死)が起こる?

学生B:肺動脈は栄養動脈でないのにどうして梗塞が起きるのですか?

 

コウメイ:それは分かりません。なぜ梗塞が起こるかについて書いてある文献は見つけることができませんでした。 ただし梗塞が起こるのは事実です。実際の写真を見てみましょう。

肺血栓塞栓症

 

これを見て、いや、肺動脈は栄養動脈でないので梗塞(壊死)が起こるはずがない!!と、事実を認めないのはダメです。何らかの理論が間違っているハズであり、それを明らかにしていくのが我々の使命です。以下は私の考えです。

 

気管支動脈が閉塞する

肺血栓塞栓症は肺動脈が閉塞する病気で気管支動脈が閉塞する病気ではありませんが、閉塞した肺動脈からなんらかのサイトカインが分泌され、気管支動脈を閉塞させている可能性はあります。

肺静脈は一部栄養血管として働いている

酸素の少い肺動脈が栄養血管となる可能性は低いですが、肺胞から酸素を受け取った肺静脈が栄養血管として働いている可能性はあります。

肺動脈が閉塞すると肺静脈への血流がなくなりますので、今まで肺静脈で栄養されていた部位が壊死してしまうのかもしれません。

以上が私の考えですが、他に考えがあったり、良い文献があったらぜひ教えて下さい。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)