発作性夜間血色素尿症:血清鉄とフェリチンとの関係

最終確認日:2017/07/25 最終更新日:2017/07/25

コウメイ:国試の溶血について質問をいただいたので回答します。まずは国試の問題とQBの解説を載せます。

第99回医師国家試験A55を改正

※私が改変したのではなくQBにこの通りの記載がありました。

溶血を示す検査所見を3つ選べ

  1. 尿ビリルビン陽性
  2. 尿ヘモジデリン陽性
  3. 網赤血球増加
  4. 血清ハプトグロビン減少
  5. 血清鉄減少

答え:b、c、d

QBの解説:鉄、フェリチンは赤血球の中の濃度の方が高いため、溶血すると高値となる。

 

第105回医師国家試験D9

発作性夜間血色素尿症でみられるのはどれか。

  1. 血清銅低下
  2. 環状鉄芽球増加
  3. VitB12低下
  4. 血清フェリチン低下
  5. 赤血球浸透圧抵抗性減弱

答え:d

解説:慢性の血管内溶血によって鉄欠乏を引き起こしフェリチンは低下する。

 

読者からの質問

99A55では溶血で血清鉄は上昇すると説明してあります。それなら、溶血を起こす発作性夜間血色素尿症でも血清鉄が上昇して、フェリチンは低下しなさそうです。しかし、105D9では鉄欠乏で血清フェリチン低下とあります。どう考えれば良いのでしょうか?

 

コウメイ:なかなか悩ましい問題ですね。一緒に考えていきましょう。

溶血すると血清鉄は高くなる?

コウメイ:まず、QBの解説に書いてある「鉄、フェリチンは赤血球の中の濃度の方が高いため、溶血すると高値となる。」というのは本当なのでしょうか?

きちんとした文献でそのような記載を見つけることはできませんでした。そのように書いてあるサイトもありますが、信頼性が低いので、信じることはできません。

本当かは分かりませんが、仮に赤血球から鉄が漏れるとしましょう。その場合、溶血した瞬間は血清鉄は増えそうです。しかし、しばらくすると血清鉄は再利用され、正常値に戻りそうな気もします。さらに、病状が進み、後述するフェリチンも低下すると、血清鉄も下がる可能性もあります。

というわけで、溶血すると血清鉄がどうなるかは分かりません。実際、厚生労働省が発表した溶血性貧血の診断基準にも、発作性夜間血色素尿症の診断基準にも血清鉄の記載はありません。あまり気にしないのがいいです。

溶血性貧血の診断基準

溶血性貧血の診断基準

発作性夜間血色素尿症の診断基準

発作性夜間血色素尿症の診断基準

 

でも、国試の過去問に血清鉄がどうなるかとの問題が出てるじゃないか!!

と思われる方もいるかもしれませんが、この問題はなぜか改変されているので、実際の問題ではありません。この問題であれこれ議論する意味はありません。

 

フェリチンはどうなる?

次にフェリチンについて考えてみましょう。仮に、QBの解説に書いてあるように、溶血したときに赤血球からフェリチンが漏れたとしましょう。そう考えるとフェリチンは高くなっているかもしれません。・・・・・・(A)

しかし、(血管内で)溶血が起こると、ヘモグロビン尿やヘモジデリン尿となり、鉄は体外に排泄されます。それを補うためフェリチンは低下します。・・・・・・(B)

仮に(A)のような病態があったとしても、(B)の作用が大きいため、特に発作性夜間血色素尿症ではフェリチン値は低下するのが普通です。

夜間に採血すると、もしかするとフェリチンが上昇しているかもしれませんが、採血は普通日中にするので、フェリチンは低下と理解するのがいいです。

※繰り返しになりますが、溶血で本当にフェリチンが漏れるかは分かりません。

 

 結論

結論ですが、溶血で血清鉄がどうなるかは分からない(色々な値をとり得る)ので気にしないのがいいです。

フェリチンは、特に発作性夜間血色素尿症では低下します。他の溶血性貧血ではどうなるか気にされる方もいるかもしれませんが、それは病気の本質とは関係なく、診断にも必須ではないのであまり気にしないのがいいです。

それを気にしている暇があったら、他にためになる問題を解くことをオススメします。以上で解説は終わりですが、納得できたでしょうか。また、気になるところがあれば質問してください。