腹膜刺激症状をおこす疾患は?

最終確認日:2017/07/28 最終更新日:2017/07/28

コウメイ:読者のユウキさんから腹膜刺激症状について質問をいただきました。腹膜刺激症状が起こる病気と起こらない病気の違いは何でしょうか?まずは質問を見てみましょう。

読者からの質問

虚血性腸疾患で腹膜刺激症状が起こらず、腸間膜性動脈閉塞症で腹膜刺激症状が起こるのはなぜでしょうか?前者は狭窄の程度が軽いから炎症は起こらないが、後者はは狭窄の程度が強いから炎症が起こるのでしょうか。

また、クローン病や潰瘍性大腸炎では腹膜刺激症状は起こらないのでしょうか。回答をよろしくお願いします。

 

腹膜刺激症状とは?

その名の通り、腹膜に何か刺激(主に炎症)があるときおこります。炎症が弱いときはおこらず、炎症が強いときにおこります。

 

虚血性大腸炎と上腸間膜動脈閉塞症との違い

閉塞する血管の太さが違います。虚血性大腸炎は細い血管で、上腸間膜動脈閉塞症は太い血管です。

※狭窄の程度ではなく血管の太さの違いです。

虚血性大腸炎は軽症、上腸間膜動脈閉塞症は重症のことが多いです。炎症も虚血性大腸炎は弱く、上腸間膜動脈閉塞症は強くなります。虚血性大腸炎は腹膜刺激症状はあまり起こらず、上腸間膜動脈閉塞症は起こることが多いです。虚血性大腸炎も炎症が強いものは腹膜刺激症状が起こります。

 

クローン病や潰瘍性大腸炎はどうか?

クローン病や潰瘍性大腸炎はどちらもそれほど強い炎症をおこすこわけではありません。あまり腹膜刺激症状は起こしません。ただし程度の問題で、炎症が強い場合は腹膜刺激症状を起こします。

以上から分かるように、ある疾患を腹膜刺激症状が起こるか、起こらないかに分けるのはかなり難しいです。ですので、”腹膜刺激症状がある疾患はどれ?”のような問題はほとんどありません。

出題されたとしても、悩むような疾患は選択肢になりません。例えば、以下の問題がそうです。

題101回医師国家試験C23

筋性防御を伴わないのはどれか。

  1. 十二指腸潰瘍穿孔
  2. 麻痺性イレウス
  3. 汎発性腹膜炎
  4. 急性胆嚢炎
  5. 急性虫垂炎

 

正解はbの麻痺性イレウスですが、麻痺性イレウス自体は炎症を引き起こす疾患ではありません。炎症の結果として麻痺性イレウスにはなることはありますが、麻痺性イレウスが炎症を引き起こすことはありません。

aの十二指腸潰瘍穿孔は当然強い炎症が起こります。c~eも炎という字が入っていることから分かるように炎症が起こります。腹膜刺激症状が起こるか起こらないかを気にしながら勉強するのはいいのですが、ただ丸暗記するのは時間のムダです。やめましょう。

以上、腹膜刺激症状について勉強しました。長くなったのでまとめます。

  • 腹膜刺激症状は炎症が強いと起こります。
  • 腹膜刺激症状が起こるか起こらないかの丸暗記は意味がないです。
  • それよりその病気はどのようなものかということを意識して勉強しましょう。

 

今回の講義は終わりです。お疲れ様でした(^_^)

こちらも勉強になるのでご覧ください。
腸閉塞に大腸内視鏡は禁忌?(第99回医師国家試験H-13)