肝臓での合成 | コレステロール、トランスフェリンの調節

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:ユウキさんからコレステロールとトランスフェリンの合成が納得できないとの質問をいただきました。それぞれの合成がどのように調節されているか詳しく説明していきます。まずは質問を見てみましょう。

読者からの質問

先日メックの授業で、ネフローゼ時にはアルブミンの合成能が上がり、それにつられコレステロールも増加すると習いました。

しかし違う授業では、慢性炎症時にはCRPなどの蛋白を肝臓は作るので、トランスフェリンの合成能は相対的に下がってしまうと習いました。

二つの説明に矛盾を感じるのですが、本質的には一体何が正しいのでしょうか。回答をよろしくお願いします。

 

コウメイ:確かにその説明を聞くと、どう理解していいか困りますね。しかし、この記事を読めば納得できはずです。

アルブミンの役割は浸透圧の調節

アルブミンの役割は浸透圧の調節と他の物資との結合です。

※詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
4年生の勉強法2 | 抗菌薬、アルブミンについて

 

ネフローゼではアポ蛋白Bが増える

ネフローゼとは糸球体からアルブミンがじゃじゃ漏れしてしまう病態です。その結果、浸透圧が低下してしまいます。浸透圧が低下してしまったら困ります。アルブミンが低下すること自体が問題なのではなく浸透圧が低下することが問題なのです。

浸透圧が低下したらどうするか?

人間の体は浸透圧の低下に対処しようとします。ではどう対処するのか?アルブミンの合成能が上がります。同時にアポ蛋白Bの合成能も上がります。アボ蛋白Bは浸透圧活性を持っていますので浸透圧を上げることができます。

アボ蛋白Bとは?

アポ蛋白Bとはアポ蛋白の一種です。アポ蛋白にはA、B、C、Eがあります。アポ蛋白Bはコレステロールを包みLDLとなります。ネフローゼではアポ蛋白Bが増えますのでLDLも増えます。その結果、血中コレステロールが増えます。

なぜアポ蛋白Bなのか?

先程の説明で納得した方はそれで終わりで大丈夫です。納得できない方、つまりなぜ他の蛋白でなくアポ蛋白Bなのか?と思われている方。鋭いです。これについては詳しくは分かっていません。皆さんが医者になったらぜひ研究してみましょう。

 

トランスフェリンの役割

トランスフェリンの役割は鉄の運搬です。十二指腸で吸収された鉄と結合し骨髄や肝臓へと運ばれます。

体内の鉄が少なかったら?

鉄を少しでも吸収しようとトランスフェリンは増加します。

体内の鉄が多かったら?

それ以上鉄を吸収しても意味が無いのでトランスフェリンは減少します。

体内の鉄の量の指標はフェリチン

トランスフェリンが体内の鉄の量で増加したり減少したりするのは分かりました。それでは体内の鉄の多い、少ないははどうやって判断すれば良いのでしょうか?

 

学生B:血清鉄を調べればいいんじゃないですか?

 

コウメイ:そう単純ではありません。血清鉄は体内の鉄の量の良い指標にはなりません。体内の鉄の量の良い指標としてフェリチンがあります。

フェリチンは通常、血漿や骨髄へ鉄を渡しますが、慢性炎症があるとそれらへ鉄を渡しません。その結果、フェリチンは高値となります。フェリチンは鉄の量の指標なので、人間の体は鉄の量が多いと判断します。そして、先程説明したように体内の鉄の量が多いときはトランスフェリンは減ります。

このような理由で慢性炎症があるとトランスフェリンは低値となります。

今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)