血液検査値は丸暗記するしかないのか?

最終確認日:2017/07/27 最終更新日:2017/07/27

コウメイ:検査値に関する問題です。検査のときも丸暗記でなく、きちんと病態生理を考えることが大切です。

第105回医師国家試験B50

76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。

現病歴:10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
生活歴:飲酒は機会飲酒。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。

現症:尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球311万,Hb10.9g/dl,Ht32%,白血球3600。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dl,アルブミン2.6g/dl,クレアチニン0.8mg/dl,総ビリルビン0.9mg/dl,AST84IU/l,ALT68IU/l,ALP220IU/l(115~359)。免疫学所見:HBs抗原陽性,HCV抗体陰性,AFP140ng/ml(20以下)

食道内視鏡写真を下に示す。

varix
血液検査所見で予想されるのはどれか。

  1. CRP高値
  2. 尿素窒素高値
  3. 血小板減少
  4. γ-グロブリン低値
  5. 総コレステロール高値

 

学生B:たしか炎症があればCRPはあがるはず・・だからaだと思います。

 

コウメイ:不正解です。正解はcの血小板減少です。

 

学生B:分かりました。覚えます。CRPは高くなく、尿素窒素も高くなく、血小板は低く・・

 

コウメイ:丸暗記はダメです。なぜそのような検査結果になるかきちんと考えることが大切です。

 

学生B:なぜそうなるか・・ですか?

 

コウメイ:そうです。この患者は慢性肝炎が原因の肝硬変がありそうです。それをふまえたうえで選択肢をひとつずつ考えていきましょう。

 

CRP高値

炎症があるので一見CRPは高値になりそうです。しかし、慢性肝炎、肝硬変では高値にならないのが特徴です。

“ふーん”とだけ思っているあなた。これは非常に重要なポイントです。なぜなら、肝硬変の患者でCRPが上がっていたら細菌感染を考えなければいけないからです。特に特発性細菌性腹膜炎は致死的ですので、絶対に鑑別にいれなけければなりません。

 

尿素窒素高値

尿素窒素は肝とは関係ありません。消化管出血があれば高値になりますが、内視鏡写真からはなさそうです。

※なぜ消化管出血で高値になるかは今度説明します。

 

血小板減少

肝硬変があると、血液は脾臟に流れます。脾臟では血球をトラップし、破壊するので血小板が減ります。これが正解です。ち赤血球、白血球も減ります。

 

γ-グロブリン低値

肝ではまずマクロファージが細菌などを処理していますが、肝硬変では処理能力が落ちます。すると細菌をうまく処理できず、リンパ球が賦活化されます。ですのでγ-グロブリンは高値になります。

※γ-グロブリンとは抗体のことです。

 

総コレステロール高値

コレステロールは肝で合成されます。肝硬変では合成がうまくできません。総コレステロールは低値になります。

 

いかがでしたか?この問題に限らず全ての問題でなぜそのような検査値になるか考えてみてくだい。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)