結核の診断法 | インターフェロンγ遊離測定法(IGRA)とPCRの使い分け2

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:今回は「結核の診断法」の続きで、PCRとIGRAのどちらの検査を行えばいいのか考えていきます。

※前回の記事はこちらです。
結核の診断法 | インターフェロンγ遊離測定法(IGRA)とPCRの使い分け

 

まずはもう一度問題を見てみましょう。

医師国家試験

75歳の女性。咳嗽を主訴に来院した。3週前から咳、痰、全身倦怠感、食思不振および37℃台の微熱が出現し、市販の総合感冒薬で改善しないため受診した。胸部X線写真で右上肺野に空洞を伴う浸潤影と周囲の結節影とを認めた。喀痰の抗酸菌塗抹試験が陽性であったため患者を個室に入れた。

まず行うのはどれか。

  1. 保健所に届ける。
  2. 抗結核薬を投与する。
  3. 結核菌のPCR検査を行う。
  4. 患者にN95マスクを着用させる。
  5. 結核菌特異的全身インターフェロンγ遊離測定法<IGRA>を行う。

 

抗酸菌塗抹試験陽性とは

学生B:喀痰の抗酸菌塗抹試験が陽性ということは、

  • 結核
  • MAC

が考えられます。

 

どちらかをはっきりさせたいので、検査をする必要があります。PCR、IGRAをして診断しましょう!!

 

コウメイ:おしいっ。まず、抗酸菌塗抹試験が陽性なので、

  • 結核
  • MAC

が考えられるのは合っています。どちらかをはっきりさせてたいのでさらに検査が必要です。

※ここがよく分からない方はこちらをご覧ください。
抗酸菌塗抹検査陽性なら結核? | 第103回医師国家試験I-49

 

可能ならPCRを

そこで、PCRとIGRAのどちらを行うかですが、可能ならPCRを行ってください。

 

学生B:可能なら?

 

コウメイ:そうです。可能ならです。というのも、PCRはいつでもできるわけではないんです。 患者さんから痰をとることができないとPCRをすることができません。

結核が疑われる人全てが痰が出るわけではありませんので、そのようなときに血液検査であるIRGAを行います。本患者は痰が出ており、しかも抗酸菌塗抹試験陽性なので、PCRのよい適応です。

 

学生B:PCRが適応になるのは分かりました。でもIGRAもやっていいような気がするんですが・・。

 

IGRAはなぜやらない?

IGRAは間接的な診断法である

コウメイ:まず、IGRAは結核菌を直接見ているわけではなく、IFN-γの量から結核がいるか推定しているものです。一方、PCRは結核がいるか直接診断する検査法です。ですので、可能ならPCRの方がいいです。

IGRAは痛い

クォンティフェロン(IGRA)

IGRAは血液検査です。血液検査ということは針を指します。痛いです。可能ならしたくありません。

医療はお金がかかる

もしかしたらこれが一番の理由かもしれません。IGRAに限らず医療はお金がかかるということを理解しましょう。できるだけ無駄な検査はしないのがいいです。

このような理由から本患者ではIGRAがPCRより優先されることはありません。

 

IGRAが選ばれるとき

では、どういうときIGRAを行うかですが、先程説明したように、結核が疑われるけど痰がでないときがあげられます。具体的に言うと、

  • 高齢者でうまく痰が出せない、胃液もどうしてもとれない
  • 家族が結核と診断されたが、自分はまだ症状がない
  • 結核性髄膜炎でそもそも痰が出ない
  • 結核患者と接触のある医療者

などです。

一番最後のが皆さんに関係します。医療従事者は結核に感染する可能性が高いので、病院によってはIGRAをさせることがあります。もしかすると、皆さんが研修する病院でもIGRAをするかもしれません。

そのとき、「痰が出ないんですけど検査できますか?」のような発言はしないようにしましょう。

最後はちょっと余計な話をしましたが、以上でPCRとIGRAとの使い分けの説明は終わりです。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)