低体温症の治療 | 温浴加温は可能?

最終確認日:2017/07/23 最終更新日:2017/07/23

コウメイ:今回は低体温症の治療の続きで、温浴加温はすべきか考えていきます。

前回の記事はこちらです。
低体温症の治療 | 気管挿管 vs 心室細動

第107回医師国家試験I75

70歳の男性。意識障害のため搬入された。冬の寒い日に長時間停電があり、自宅で発見された時には意識はなく暖房は消え室内は冷え切っていた。救急搬送時から救急車内の暖房や保温シートなど表面加温が開始された。

搬入時、意識レベルはJCS300.腋窩温32℃。脈拍60/分、整。血圧92/52mmHg。呼吸数10/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L投与下)。全身の皮膚は冷たく、発汗はない。

まず、行うべきものはどれか。

  1. 頭部CT
  2. 気管挿管
  3. 温浴加温
  4. 胸骨圧迫
  5. 尿道カテーテル留置

正解:b

 

加温は必要です

学生B:前回の説明で、気管挿管をするのは分かりました。でも、温浴加温も必要じゃないですか?

 

コウメイ:ん〜、どうでしょうか?

 

学生B:えっ、加温はしなくていいんですか?

 

コウメイ:加温は必要です。というか、すでに加温はされています「えっ、いつの間に?」と思った方はもう一度よく問題を見てみてください。

 

温浴加温とは?

コウメイ:この問題のポイントは加温すべきかということではなく、温浴加温すべきかどうかという点です。温浴加温の定義ははっきりは分かりませんが、おそらくお風呂に入れることだと思います。これを頭に入れた上で、もう一度質問です。

この患者に温浴加温はすべきですか?

 

学生B:したらいいんじゃないですか。すぐ温まりそうですし。

 

コウメイ:真剣に考えていませんね。

 

学生B:???

 

病院にお風呂はある?

コウメイ:そもそもなんですが、病院に患者を入浴させることのできる設備はありますか?

温浴加温

私の研修した病院にはありませんでした。

 

学生B:なかったような・・・。

 

コウメイ:じゃ、どうやって入れるんですか?

 

学生B:無理っすね。あっ、でも病院によってはあるかもしれないじゃないですか。

 

意識のない人をお風呂に入れるのは大変

コウメイ:確かに、お風呂の設備のある病院もあることはあります。しかし、よく考えてみてください。意識のない人を動かすのってめちゃくちゃ大変です。何とかお風呂に入れることができたとして、ちょっとでもバランスを崩せば顔がお風呂に入ってしまい窒息するかもしれません。かなり危険です。

 

モニターはどうする?

しかも、お風呂に入れるということはモニターを付けることができません。前回、学生B君が心配したように、低体温症では心室細動になりやすいのですが、心室細動になってもモニターがないと気づくのが遅れます。こちらもかなり危険です。

以上の理由から、温浴加温が気管挿管より優先されることはありません。皆さんはどう考えましたか?まだ学生なので難しいかもしれませんが、できるだけ実際の現場をイメージして問題を解いてみましょう。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)