溶血性尿毒症症候群(HUS)で尿中β2ミクログロブリンが高値になる理由【91F25】

コウメイ(@kokusigokaku):「溶血性尿毒症症候群(HUS)でなぜ尿中β2ミクログロブリンが増えるのですか?」との質問が多いので解説していきます。まずは問題を見てみましょう。

第91回医師国家試験F25

3歳の女児。5日前から1日5、6回の下痢があり、近医で治療を受けていた。今朝から下痢便に血が混じるようになった。昨夕から尿量が減り、今朝1回赤褐色の尿が少量でた。元気がなく顔色不良となってきたため来院した。

体温37.6℃。血圧132/88mmHg。意識は清明。顔面蒼白で眼瞼結膜は貧血状である。肝、脾は触知しない。赤血球240万、Hb7.2g/dL、白血球10,200、血小板6万、尿素窒素46mg/dL、クレアチニン3.0mg/dL。末梢血May-Giemsa染色標本を示す。

破砕赤血球(HUS)

この患児で予想される検査所見はどれか。3つ選べ。

  1. 高LDH血症
  2. 網赤血球数増加
  3. 直接Coombs試験要請
  4. 血清ハプトグロビン高値
  5. 尿中β2ミクログロブリン高値
答え(クリック)

a、b、e

 

診断:HUS±DIC

末梢血に破砕赤血球が見られます。

破砕赤血球_HUS_-編集

急性の病気で破砕赤血球が見られた場合以下の病気が鑑別に挙がります。

  • DIC
  • TTP
  • HUS

この患者では血便がありHUSの可能性が高いと思います。DICを併発しているかもしれません。

HUSは腸管出血性大腸菌が原因 〜志賀毒素(ベロ毒素)〜

HUSの原因は腸管出血性大腸菌です。特にO-157が有名ですね。

腸管出血性大腸菌(o-157)

腸管出血性大腸菌は志賀毒素(ベロ毒素)を産生するのですが、この毒素が細胞を傷害するので様々な症状

  • 下痢、血便
  • 溶血
  • 血小板減少
  • 急性腎傷害
  • 意識障害

を引き起こすのです。

HUSでは腎傷害が起こります。特に近位尿細管の機能が悪くなることが知られています。β2ミクログロブリンは近位尿細管で再吸収されますので、ここが傷害されると再吸収が行われないため尿中β2ミクログロブリンが増えるというわけです。

β2ミクログロブリンの単位はmg/L

近位尿細管で再吸収が行われないのは分かりました。でも、HUSではGFRも低下しますよね。ということは、近位尿細管へいく尿が減るのでβ2ミクログロブリンも減るはず。

このように考えた方もいるかもしれません。ここで重要なのは単位です。β2ミクログロブリンの単位はmg/Lであり、濃度になります。絶対量ではなく濃度というのがポイントです。

HUSではGFRが減るので近位尿細管へいく尿の量は少なくなりますが濃度は同じです。近位尿細管でβ2ミクログロブリンが再吸収できないので、普段より濃い濃度のβ2ミクログロブリンが遠位尿細管、集合管、・・・と流れ、最終的に排尿されます。よって、「尿中β2ミクログロブリンは高値」になります。