心不全の治療 〜ジギタリスは使われない?〜

コウメイ(@kokusigokaku):読者のから心不全の治療について質問をいただきました。心不全の治療は研修医になったら絶対に経験しますので、しっかり勉強しましょう。まずは質問の元になった模試を見てみましょう。

某模試の問題

心不全に起因する急性肺水腫の治療に最も適しているのはどれか。3つ選べ。

  1. ジギタリス
  2. フロセミド
  3. ロサルタン
  4. ニトログリセリン
  5. 塩酸モルヒネ

解答:b、d、e

 

読者からの質問

なぜジギタリスは不正解なのでしょうか?心不全に起因する急性肺水腫ということでForrester分類のⅣを考えました。もしForrester分類のⅣであるならばジギタリスは適応となるのではないでしょうか?

 

心不全の分類

Forrester分類

Forrester分類について知らない方はいないと思いますが、念のため載せておきます。

Forresterの分類

Nohria-Stebenson分類

Forrester分類は昔から使われている分類なのですが、スワンガンツカテーテルを行わないと分類できません。ちょっと不便です。そこで考えだされたのが、Nohria-Stebenson分類です。本質はどちらも同じです。

Nohria-Stebensonの分類

急性心不全の治療

治療はこれらの分類のどれに当てはまるかによって異なります。今回は特にForrester分類Ⅳ、Nohria-Stebenson分類Cについて説明していきます。この分類では肺うっ血と心拍出量の低下があり、それらを改善するための治療が行われます。肺うっ血を改善するために利尿薬、血管拡張薬が心拍出量の低下を改善するために強心薬が使用されます。
※肺うっ血≒肺水腫

肺うっ血に血管拡張薬を使う理由

肺うっ血に利尿薬を使うのは分かりやすいですが、なぜ血管拡張薬を使うのでしょうか。

肺うっ血が起こる理由として、単純に血液の量が多くなっているというのもありますが、血管抵抗が上がっていることも考えられます。血管抵抗が上がると先に血液が進めないので、肺にたまってしまいます。それを改善するために血管拡張薬が用いられます。もちろん、静脈環流量を減らし肺へいく血液量を減らす働きもあります。

肺うっ血に使用する強心薬の種類

心拍出量が低下したときは強心薬を用いることがあります。心拍出量が増えると、肺うっ血の改善につながります。

ただし、強心薬なら何でも良いわけではありません。昔はジギタリス位しか薬がなかったので心不全に用いられていましたが、現在はもっとよいお薬があります。例えばドパミンやドブタミンです。

プレドパ

ジギタリスとは違い、即効性があり、半減期も短く使いやすいです。ジギタリスは半減期が長く、効果がでるまでに時間がかかります。また、今までの臨床データから予後を改善する効果は乏しいことが分かっています。教科書やガイドラインにも「強心薬」を用いるとは書いてありますが、「ジギタリス」を用いるとは書いていないはずです。確認してみるとよいでしょう。

ジギタリスの適応

ジギタリスの適応で覚えておくとよいのは心房細動のレートコントロールです。ただし、第一選択薬ではありません。第一選択薬はβ遮断薬やCa拮抗薬です。基本的にはどちらかを選択するのですが、どちらも陰性変力作用があり血圧が低下したり、心不全がある場合は悪化したりすることがあります。

そんなときに強心作用がありかつ心拍数を抑えてくれるジギタリスが選択されることがあります。とは言え、前述したように、ジギタリスは長期予後を改善しません。よって、最終的にはβ遮断薬やCa拮抗薬への切り替えが検討されます。