心不全の治療 | ジギタリスは使われない?

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:読者のから心不全の治療について質問をいただきました。心不全の治療は研修医になったら絶対に経験しますので、しっかり勉強しましょう。まずは質問の元になった模試を見てみましょう。

某模試の問題

心不全に起因する急性肺水腫の治療に最も適しているのはどれか。3つ選べ。

  1. ジギタリス
  2. フロセミド
  3. ロサルタン
  4. ニトログリセリン
  5. 塩酸モルヒネ

解答:b、d、e

 

この問題に対し以下のような疑問を持ったようです。

読者からの質問

なぜジギタリスは不正解なのでしょうか?心不全に起因する急性肺水腫ということでForrester分類のⅣを考えました。もしForrester分類のⅣであるならばジギタリスは適応となるのではないでしょうか?

 

心不全の分類

Forrester分類

Forrester分類について知らない方はいないと思いますが、念のため載せておきます。

Forresterの分類

 

これは昔から使われている分類なのですが、スワンガンツカテーテルを行わないと分類できません。ちょっと不便です。

Nohria-Stebenson分類

そこで考えだされたのが、Nohria-Stebenson分類です。

Nohria-Stebensonの分類

 

よく三苫先生がdryとかcoldと言っているのは、Forrester分類ではなくNohria-Stebenson分類です。本質はどちらも同じです。

 

急性心不全の治療

治療はこれらの分類のどれに当てはまるかによって、異なってきます。今回は特にForrester分類Ⅳ、Nohria-Stebenson分類Cについて説明していきます。

この分類は肺うっ血と心拍出量の低下があり、それらを改善するための治療が行われます。
※肺うっ血=肺水腫

肺うっ血を改善するために利尿薬、血管拡張薬が心拍出量の低下を改善するために強心薬が使用されます。

 

肺うっ血に血管拡張薬?

学生B:肺うっ血に利尿薬を使うのは分かりますが、なぜ血管拡張薬を使うのですか?

 

コウメイ:良い質問ですね。そもそも、なぜ肺うっ血が起こるかですが、単純に血液の量が多くなっているというのもありますが、血管抵抗が上がっているのも原因のひとつです。

血管抵抗が上がると、先に血液が進めないので肺にたまってしまうのです。それを改善するために血管拡張薬が用いられます。

 

肺うっ血に強心薬?

また、心拍出量が低下したときは強心薬を用いることがあります。心拍出量が増えると、肺うっ血の改善にもつながります。

 

学生B:それではなぜ、模試で正解になっていないのですか?

 

コウメイ:それはですね、他によりよいお薬があるからです。昔はジギタリス位しか薬がなかったので心不全に用いられていましたが、現在はもっとよいお薬があります。例えばドパミン製剤です。

プレドパ

 

ジギタリスとは違い、即効性があり、半減期も短く使いやすいです。ジギタリスは半減期が長く、また効果がでるまでに時間がかかります。また、今までの統計からそれほど予後をよくする効果はないことが分かっています。

教科書やガイドラインにも「強心薬」を用いるとは書いてありますが、「ジギタリス」を用いるとは書いていないはずです。よく確認してみてください。 今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)