クリプトコッカスの正しい理解

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:今回はクリプトコッカスについて詳しく説明していきます。適当に勉強していると間違います。まずは実際の過去問を見てみましょう。

第107回医師国家試験A28

65歳の女性。全身倦怠感と微熱とを主訴に来院した。1週前から全身倦怠感を自覚していた。3日前から37℃台の微熱が続いているという。5年前から関節リウマチで抗リウマチ薬と副腎皮質ステロイドとを服用中である。

意識は清明。身長156 cm、体重 46 kg。体温37.4℃。脈拍92/分、整。血圧 120/70 mmHg。呼吸数14/分。SpO2 97 %room air。心音と呼吸音とに異常を認めない。

血液所見:赤血球446 万、Hb 13.0 g/dl、Ht 39 %、白血球7,300(桿状核好中球 20 %、分葉核好中球46 %、好酸球1%、好塩基球1%、単球 10 %、リンパ球22 %)、血小板 16 万。CRP 2.6 mg/dl。

胸部エックス線写真で右側下肺野に多発結節影を認める。肺野条件の胸部単純 と気管支肺胞洗浄<BAL-液>の墨汁染色標本と示す。

クリプトコッカスのCT クリプトコッカスの墨汁染色

この疾患について正しいのはどれか。

  1. 内因性感染である。
  2. 血清抗原検査の感度は高い。
  3. 血清 β-D-グルカン値は上昇する。
  4. 発症予防にST 合剤の内服が有効である。
  5. 原因微生物はAspergillus fumigatusである。

 

学生B:墨汁染色からクリプトコッカスだな。真菌感染症だからβ-D-グルカン値は上がるだろう〜。治療はST合剤でも飲んでおけば大丈夫かな。正解はcとdで!!

 

コウメイ:クリプトコッカスはあっていますが、正解はbです。真菌感染症についてきちんと勉強しないとこのように間違います。正しく理解しましょう。

 

β-D-グルカン値が上がる疾患は?

真菌感染症なら全てβ-D-グルカン値が上がるわけではありません。β-D-グルカン値が上がるのは以下の3つです。

  • カンジダ
  • アスペルギルス
  • ニューモシスチス肺炎

いつも丸暗記はダメと言っていますが、さすがにこれは覚えるしかないですね。

 

ST合剤が効く病気は?

そもそもST合剤とは

合剤というからには何かと何かが一緒になったお薬です。なんだと思いますか?

 

学生B:SとTです!!

 

コウメイ:そんな短い名前の薬があるはずがありません。スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)とトリメトプリム(trimethoprim)との合剤です。 ST合剤見たことありますか?このようなお薬です。商品名でいうとバクタです。

ST合剤(バクタ)

 

ST合剤が効く疾患

このST合剤なんですが、適応疾患はあまり多くありません。国試レベルではニューモシスチス肺炎に効くと覚えておけば大丈夫だと思います。残念ながらクリプトコッカスには効きません。

 

クリプトコッカスに効く薬

ST合剤はクリプトコッカスには効かないことは分かりました。それでは何の薬を使ったらいいでしょうか。

 

学生B:抗生剤です。

 

コウメイ:違います。クリプトコッカスは真菌なので、抗生剤は確実に効きません。最近の抗生剤はなんにでも効くからな〜とクリプトコッカスに用いることのないようお願いします。クリプトコッカスにはフルコナゾールやアムホテリシンBを使いましょう。

 

クリプトコッカスの感染源

クリプトコッカスにも色々な種類がありますが、人間に病気を起こすのはC.neoformansですので覚えておきましょう。鳩の糞に存在し、乾燥により空気中を飛散し感染します。

 

クリプトコッカスの検査

クリプトコッカスの検査として血清抗原検査があります。血清にクリプトコッカスに反応する試薬を入れ、凝集の有無を見ます。抗原があれば凝集し、なければ凝集しません。 感度、特異度ともに高いので有用な検査です。

 

以上、かなり詳しく説明しましたのでもうクリプトコッカスについては大丈夫ですね。この問題は正解率が低かったので第108回医師国家試験にでそうな気がします。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)