【書籍の紹介】『レジデントのためのこれだけ輸液(電子書籍付)』【サンプルページあり】

2020年7月3日に輸液の本が出版となりました.2016年に看護師さん向けに『看護の現場ですぐに役立つ「輸液」のキホン』を出版しましたが,今度は主に医大生,初期研修医,後期研修医向けの内容になっています.

『レジデントのためのこれだけ輸液』

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※いずれも送料無料です.定価は4,620円(税込み)です.

目次

1)輸液の勉強は初めの一冊が重要

これを読んでいるのは主に初期研修医か医大生で「これから本格的に輸液の勉強を始めようと考えているが,どの本を選べばよいのだろう?」と悩んでいる方だと思います.私も初期研修医時代に輸液の本を読みましたし,本書を執筆するにあたり類書を20冊以上読み研究しました(あなたが購入を検討している本はおそらく読みました).読みやすい本もありますが,読みにくい本もあります.おそらく途中で読まなくなり,輸液の勉強が嫌になるでしょう.

輸液を勉強する際は,初めにどの本を読むかが非常に重要です.本書は初期研修医,医大生が初めに読む輸液本として適切なものになるよう徹底して考え作成しました.

2)本書の特徴

輸液以外のことも記載しました.輸液の本は純粋に輸液の学問について記載しているものがあります.もちろんそのような勉強も大切ですが,実際に輸液を行うにはライン確保の仕方,器具の使い方などの知識も必要です.また,輸液を行う際に,輸液だけを行うことはあまりありません.同時に採血をしたり,抗生剤を投与したり,昇圧剤を併用したりします.また,実際に輸液を行うには看護師や薬剤師とのやりとりも必要です.これらは別個に学ぶより,まとめて学んだ方が効率が良いと考えます.それらの説明も記載しました.

では実際の内容(目次)を見てみましょう.

3)本書の目次

第1 章 輸液の学び方
1.1 輸液を学ぶための3ステップ

第2 章 よく使用する輸液製剤
2.1 Case 1 救急患者のライン確保
2.2 Case 2 腎不全患者のライン確保
2.3 Case 3 食事が摂れない場合
2.4 Case 4 高ナトリウム血症
2.5 輸液に必要な器具の名称
2.6 投与速度の調節(クレンメ)
2.7 投与速度の調節(輸液ポンプ)
2.8 投与速度の調節(シリンジポンプ)
2.9 針の選択
2.10 ライン確保と採血
2.11 血液ガス分析と通常採血

第3 章 輸液製剤の組成と体内分布
3.1 水が存在する部位(細胞・間質・血管)
3.2 電解質の単位: mEq/L
3.3 脱水
3.4 輸液製剤の組成
3.5 細胞外液
3.6 5%ブドウ糖液
3.7 1号液(開始液)
3.8 3号液(維持液)
3.9 水とNa の移動
3.10 生食を血管内投与したときの分布
3.11 5%ブドウ糖液を血管内投与したときの分布
3.12 1号液を血管内投与したときの分布
3.13 3号液を血管内投与したときの分布

第4 章 浸透圧と張度を理解する
4.1 浸透圧
4.2 張度(有効浸透圧)
4.3 各輸液製剤の張度
4.4 等張液、高張液、低張液
4.5 等張電解質輸液、低張電解質輸液、高張電解質輸液

第5 章 輸液製剤の適応と使い方
5.1 Case 1 救急患者のライン確保
5.2 Case 2 腎不全患者のライン確保
5.3 Case 3 食事が摂れない場合
5.4 水分必要量の詳細
5.5 Case 4 高ナトリウム血症

第6 章 尿細管の機能
6.1 尿細管機能の学び方
6.2 近位尿細管
6.3 ヘンレループ
6.4 ヘンレループの細い下行脚
6.5 ヘンレループの細い上行脚
6.6 ヘンレループの太い上行脚
6.7 遠位尿細管
6.8 集合管
6.9 集合管に作用するホルモン、抑制薬、疾患
6.10 近位尿細管に作用するホルモン、抑制薬、疾患
6.11 ヘンレループに作用する抑制薬、疾患
6.12 遠位尿細管に作用する抑制薬、疾患

第7 章 酸塩基平衡(血液ガス分析)
7.1 Step 1 アシデミアかアルカレミアか?
7.2 Step 2 呼吸性か代謝性か?
7.3 Step 3 代償は適切か?
7.4 Step 4 AG と補正HCO3 を計算する
7.5 Step 5 鑑別を考える

第8 章 電解質異常
8.1 高Na 血症
8.2 低Na 血症
8.3 高K 血症
8.4 低K 血症
8.5 高Ca 血症
8.6 低Ca 血症
8.7 高Mg 血症
8.8 低Mg 血症

第9 章 病態別の輸液
9.1 ショック
9.2 うっ血性心不全
9.3 腎不全
9.4 糖尿病
9.5 糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群
9.6 感染症(抗生剤)
9.7 炎症性疾患(ステロイド)
9.8 食事が摂れない患者(栄養輸液)
9.9 ストレス下(ADH 分泌亢進)
9.10 終末期(皮下輸液)

以上,全288ページです.

4)本書を読むと判断できるようになること

本書を読むと以下の質問に答えられ,臨床で色々と判断することができます.

学生でも必須

輸液を行う針の太さの単位は何ですか?・・・p20
細胞外とは何ですか?なぜわざわざそのような名称を使うのでしょうか?・・・p28
電解質の単位は何ですか?・・・p30
リンゲル液とは何ですか?・・・p33
浸透圧を血漿と同じようにするには,ブドウ糖濃度を何%にすればよいですか?・・・p37
1号液とは何ですか?・・・p39
2号液とは何ですか?・・・p40
3号液とは何ですか?・・・p41
4号液とは何ですか?・・・p42
浸透圧とは何ですか?どのように計算しますか?・・・p52
等張液,高張液,低張液とは何ですか?・・・p59
蒸留水を血管内に投与してもよいですか?・・・p60
血清KとpHの関係はどのようになっていますか?・・・p69
輸液の量を決定する際に必要な項目の不感蒸泄はどの位ですか?・・・p77
近位尿細管で吸収される物質は何ですか?ヘンレループの細い下行脚,ヘンレループの細い上行脚,ヘンレループの太い上行脚,遠位尿細管,集合管はどうですか?・・・p90
尿細管で排泄される物質は何ですか?・・・p102
Liddle症候群は何が起こっているのですか?・・・p111
Bartter症候群は何が起こっているのですか?・・・p117
サイアザイドはどのように作用するのですか?・・・p118
尿細管でCaやMgはどのように調整されていますか?・・・p97,p99
CO2は酸性ですか?アルカリ性ですか?HCO3はどうですか?・・・p129
低Na血症はなぜいけないのですか?・・・p159
なぜ心不全ではADH以外にアルドステロンの分泌も亢進するのに,低Na血症になるのですか?・・・p172
なぜ甲状腺機能低下症は低Na血症の原因になるのですか?・・・p175
高K血症ではどのような心電図異常が見られますか?・・・p177
GI療法の仕組みは何ですか?・・・p184
なぜ甲状腺機能亢進症による周期性四肢麻痺で低K血症が起こるのですか?・・・p193
なぜ低K血症で多尿になるのですか?・・・p193
なぜ高Ca血症で多尿になるのですか?・・・p196
アナフィラキシーショックではアドレナリンを筋注しますか?静注しますか?・・・p212
「γ」を「mL/時」に変換できますか?・・・p217
GFR,eGFR,イヌリンクリアランス,クレアチニンクリアランス,Cockcroft & Gaultのクレアチニンクリアランス推定式の違いは何ですか?・・・p225
インスリン1単位とはどのくらいの量ですか?・・・p239
ステロイドパルスとは何ですか?・・・p254

初期研修医なら必須

誤嚥性肺炎が疑われる患者が救急搬送されました.ライン確保として何を何mL/時でつなぎますか?・・・p6
維持透析を受けている患者が腹痛で救急外来を受診しました.ライン確保として何を何mL/時でつなぎますか?・・・p8
腎盂腎炎で入院中の患者が倦怠感があり食事を摂ることができません.輸液は何を何mL/時で投与しますか?・・・p10
意識レベル低下があり原因として高Na血症が考えられる場合,輸液は何を何mL/時で投与しますか?・・・p12
成人用のクレンメで1mLを投与する場合,何滴必要ですか?小児用ではどうですか?・・・p15
クレンメで100mL/時に速度を調整する場合,どのようにすればよいですか?・・・p16
輸液を行う針はどのようなものがありますか?・・・p20
輸液を行う針の太さは何がよいですか?・・・p22
針のbevel(ベベル)とは何ですか?・・・p22
ライン確保と採血を同時に行うにはどのようにすればよいですか?・・・p24
血液ガス分析用の採血と,通常の採血を同時に行うにはどうすればよいですか?・・・p25
血管内脱水と細胞内脱水の見分け方は何ですか?治療は違いますか?・・・p31
ツルゴールの低下がある場合,血管内脱水ですか?細胞内脱水ですか?・・・p31
口腔・腋窩の脱水がある場合,血管内脱水ですか?細胞内脱水ですか?・・・p32
水は細胞,間質,血管にどの位の比率で存在していますか?・・・p43
生食を投与すると細胞,間質,血管にどの位の比率で分布しますか?・・・p45
5%ブドウ糖液を投与すると細胞,間質,血管にどの位の比率で分布しますか?・・・p46
1号液を投与すると細胞,間質,血管にどの位の比率で分布しますか?・・・p47
3号液を投与すると細胞,間質,血管にどの位の比率で分布しますか?・・・p49
小児でライン確保するときに細胞外液を使用してもよいですか?・・・p68
小児でライン確保するときの速度はどの位ですか?・・・p68
生食を大量に投与すると血液のpHはどうなりますか?乳酸リンゲル液ではどうですか?・・・p69
ソルアセトFとソルアセトDの違いは何ですか?・・・p70
人間が生きていくために,最低限どのような物質を投与すればよいですか?・・・p74
維持液として通常,ソルデム3とソルデム3Aのどちらを使用しますか?・・・p74
NaのgとmEqの単位変換はどうしますか?・・・p75
KのgとmEqの単位変換はどうしますか?・・・p75
輸液の量を決定する際に必要な項目の代謝水とは何ですか・・・p77
高齢者の輸液量はどの位がよいですか?・・・p80
末梢から投与できる浸透圧はどの位までですか?・・・p82
意識が無い低血糖患者には何%のブドウ糖液を何mL投与しますか?・・・p84
集合管の機能は水の再吸収だけですか?・・・p102
集合管の間在細胞の機能は何ですか?・・・p103
集合管を抑制する薬は何ですか?・・・p108
近位尿細管に作用する炭酸脱水酵素酵素(ダイアモックス)は何をしているのですか?・・・p112
なぜ,フロセミドで低Ca血症,低Mg血症が起こるのですか?・・・p116
血液ガス分析の解釈はどのように行いますか?・・・p124
高Na血症の輸液を何をどの位投与しますか?・・・p151
低Na血症の治療は3%食塩水ですか?・・・p167
高K血症のGI療法はどのように行いますか?・・・p178
低K血症でKはどのように投与しますか?・・・p185
高Ca血症の初期治療は何ですか?生食だけでよいですか?・・・p198
低Mg血症で投与すべき具体的なMgの量はどのくらいですか?・・・p207
アナフィラキシーショックでアドレナリンを投与する場合の針の太さはどのくらいですか?・・・p212
敗血症性ショックでは細胞外液を何mL/時で投与しますか?・・・p215
敗血症性ショックでノルアドレナリンをどのように投与しますか?・・・p216
造影CTを施行する前に確認すべき問診事項は何ですか?・・・p219
うっ血性心不全でフロセミドをまず何mg投与しますか?・・・p221
抗生剤を使用するときは,体表面積補正ありとなしのどちらのGFRを使用すればよいですか?・・・p232
混注できるインスリンにはどのようなものがありますか?・・・p240
インスリンを混注する場合,何単位使用すればよいですか?・・・p241
自己血糖測定器はどのように使用すればよいですか?・・・p244
DKA / HHSでインスリンはどのように投与すればよいですか?・・・p247
生食のキットとは何ですか?・・・p250
抗生剤の選択でMICが一番低いものを選べばよいですか?・・・p251
ステロイドの力価とは何ですか?・・・p252
長期に食事が摂れない場合,アミノ酸,脂質,ブドウ糖はどのくらい投与が必要ですか?・・・p258
術後に投与する輸液は4号液(術後回復液)ですか?・・・p266

後期研修医以降

乳酸リンゲルに入っているのは乳酸ナトリウムですが,なぜ乳酸ではなく乳酸ナトリウムなのですか?・・・p34
なぜ,乳酸リンゲルはCl濃度よりNa濃度が高いのですか?・・・p36
浸透圧と有効浸透圧は違いますか?・・・p55
張度とは何ですか?・・・p55
蒸留水にカリウムを混注したものは血管内投与できますか?・・・p60
5%ブドウ糖液は低張液ですか?・・・p62
炎症があるとなぜ血管透過性が亢進するのですか?・・・p67
無尿の患者に乳酸リンゲル液を使用してもよいですか?・・・p69
NaのgとmEqの単位変換は知っておく必要がありますか?・・・p75
集合管にアルドステロンが作用するとどうなりますか?・・・p106
腎性尿崩症の治療でなぜサイアザイドを使用するのですか・・・p110
フロセミドで低K血症になるのは,ヘンレループでKを再吸収できないことだけが理由ですか?・・・p116
Bartter症候群で血清Caはどうなりますか?・・・p117
サイアザイドで低K血症になるのはなぜですか?・・・p118
血液ガスの解釈でHenderson-Hasselbalchの式を使うメリットは何ですか?・・・p126
pHが正常ならAGの計算は不要ですか?・・・p135
アルブミンが低値の場合,補正HCO3はどのように求めますか?・・・p136
循環血液量減少が代謝性アルカローシスの原因になる理由は何ですか?・・・p142
低K血症が代謝性アルカローシスの原因になる理由は何ですか?・・・p142
Stewart法とは何ですか?・・・p143
AG非開大性代謝性アシドーシスではなぜ高Clになるのですか?・・・p144
血管内脱水と高Na血症が同時にある場合の輸液は何を使用しますか?・・・p149
高Na血症をなぜ発症48時間を目処に急性と慢性に分けるのですか?・・・p152
浸透圧脱髄症候群の症状は何ですか?・・・p167
低Na血症の鑑別にあるCWS,RSWS,MRHEとは何ですか?・・・p176
なぜ低Mg血症が低K血症の原因になるのですか?・・・p192
ミルク・アルカリ症候群とは何ですか?・・・p200
高Mg血症は低Ca血症の原因になりますか?・・・p204
低アルブミン血症があるとフロセミドが効きにくい理由は何ですか?・・・p222
心不全でなぜ治療はANPで検査はBNPなのですか?・・・p224
シスタチンCとは何ですか?・・・p235
NSAIDはなぜ腎に悪いのですか?・・・p237
自己血糖測定器で「Hi」「Lo」と表示されました.実際はどのくらいなのでしょうか?・・・p246
生物学的半減期と血中半減期は違いますか?・・・p254
体内で産生されるステロイド量はどのくらですか?・・・p255
なぜ輸液では蛋白ではなくアミノ酸を投与するのですか?・・・p256
NPC / N(非蛋白熱量 / 窒素)とは何ですか?・・・p261
脂肪製剤で脂肪肝を予防できる理由は何ですか?・・・p264
皮下輸液とは何ですか?・・・p267

5)電子書籍付き!!

これだけ輸液電子版

この書籍の大きな特徴なのですが,紙の書籍を購入すると中にシリアルコードがあり,電子書籍を利用することができます!!

昔から効率の良い本の読み方を色々考えているのですが,

紙の書籍で通読 → (必要に応じ気になった部分を)電子書籍で検索

の流れが一番良いと思います.最初から電子書籍だと読みにくいので,最初は紙の書籍がお勧めです.一方,読み終わった後は必要な部分のみ読むことになりますが,検索しやすく,どこでも読める電子書籍が優れています.この組み合わせでが今後医学書など難しい本の販売の主流になるのではないかと考えています.

※電子書籍についての詳しい説明(クリック).

6)サンプルページ

これだけ輸液_読者のための11のこだわり

Amazonで本書の一部を見ることができますが,それとは別に私がぜひ読んでいただきたいページのPDFをご用意しました.ぜひご覧ください.

サンプルページのPDF(クリック)

7)看護師,医大生,初期研修医,後期研修医の皆様へ

最後に各職種の方へのメッセージです.

【看護師】
看護師の方は無理に読む必要はないと思います.まずは『看護の現場ですぐに役立つ「輸液」のキホン』を読んでいただくことをお勧めします.その上で,さらに深い内容を知りたい場合は本書をご検討ください.

【医大生】
国試の問題をしっかり根拠を持って解くことができます.タイトルに「レジデントのための」とありますが医大生でも理解することができます.初期研修医になると輸液の書籍は必須ですので,今のうちに買っておくことをお勧めします.

【初期研修医】
医大生が理解できる内容なら初期研修医にとっては簡単すぎるのではないかと思うかもしれませんが,そうではありません.初期研修医にとって必要なことを医大生でも理解できるように記載しています.初期研修医の先生に一番読んでいただきたいです.「買って損をした!!」と思うことはないはずです.

【後期研修医】
後期研修医の先生にもお勧めです.半分以上は知っている内容かもしれませんが,知らないものもあるはずです.学生や初期研修医からの質問に備えて読んでいただくとよいかもしれません.

『レジデントのためのこれだけ輸液』

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※いずれも送料無料です.定価は4,620円(税込み)です.

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