小児のemergency

最終確認日:2017/07/28 最終更新日:2017/07/28

コウメイ:今回は再び研修医2年目のYO先生に勉強を教えていただきます。小児のemergencyについてです。よろしくお願いします。

 

YO:今回は小児のemergencyについて国試の勉強がどう臨床に結びついているかについてお話していきます。まずは過去問を見てみましょう。

第108回医師国家試験D50より改変

生後8日の新生児。哺乳量の低下と発熱との主訴で母親に連れてこられて救急外来を受診した。出生時体重3000gで既往歴等になし。来院前日より哺乳量の低下あり全身状態不良、本日より38℃の発熱をきたしている。

問1) 生後3か月以下における発熱で考えるべき疾患は?
問)2 身体診察でとらなければならない所見は?
問)3 まず行わなければならない検査および治療は?。
問)4 細菌性髄膜炎の代表的な起因菌は?

 

YO:まず、生後3か月以下の発熱はEMERGENCYであるということは必ず覚えてください。

生後3か月までは母親からの抗体が存在しているので発熱は起こらないはずです。発熱があれば重篤な疾患の可能性が高いので、入院が必要です。鑑別すべき疾患としては

  • 細菌性髄膜炎
  • 扁桃周囲膿瘍/咽後膿瘍/急性喉頭蓋炎
  • 菌血症
  • 尿路感染症
  • 肺炎/膿胸
  • 急性心筋症(劇症型心筋炎)
  • 腹膜炎
  • 化膿性股関節症/骨髄炎

などが挙げられます。他にも溶連菌感染症、川崎病、急性中耳炎などが考えられます。

 

【い・こ・じ】

それぞれの疾患の所見は色々ありますが、赤ちゃんの場合は、なかなか思うように所見をとることができません。しかし、「全身状態の把握を意固地に!」というわけで次の3つは確認してください

:意識状態 well/not-well

:呼吸状態

:循環状態

そのほかにも、

  • 大泉門膨瘤
  • 項部硬直
  • 口腔内の扁桃の左右差と腫大(カーテン徴候など)
  • おしっこの色とにおいの変化
  • お腹がやわらかいかどうか
  • 関節が熱がおびていたり腫れていたりしないか

など見られれば、なおよいでしょう。  

 

必要な検査

本患者の場合、感染症の可能性が高いので血液培養2セットは必須です。脳脊髄液も必要です。肺炎を考えレントゲン・喀痰培養、尿路感染を考え尿培養、溶連菌感染を考え咽頭培養や溶連菌迅速検査なども行いましょう。場合によっては心臓の動きを見るために心エコーも必要です。

本患者では脳脊髄液所見が細胞数4200 (多核球78%)、タンパク80mg/dl、糖5mg/dl (血糖値は98mg/dl)で細菌性髄膜炎の可能性が高いです。代表的な原因菌である

  • GBS(B群連鎖球菌)
  • 大腸菌
  • リステリア菌

をカバーに入れた抗菌薬を選択します。

 

抗生剤の選択

大腸菌、GBSカバー目的に セフォタキシム、あるいはセフトリアキソン、リステリア菌カバー目的に アンピシリンを投与します。詳しい内容は研修医になったらガイドラインなどを参考に勉強するようにしましょう。

今回の症例でみなさんにお伝えしたかったのは3か月未満の発熱はEMERGENCYであるということです。医師になった時のための一歩先の勉強でした。