二次性副甲状腺機能亢進症の治療

最終確認日:2017/07/26 最終更新日:2017/07/26

コウメイ:読者から「模試の解説がよく分からない」との質問をいただきました。確かに分かりにくいです。私がきちんとした解説をしていきます。 まずは模試の問題を見てみましょう。

某模試の問題と解説

32歳の男性。慢性腎不全で通院し、維持透析を受けている。しきりに全身掻痒感を訴えている。エリスロポエチンと鉄との補充にもかかわらず、貧血がなかなか改善しない。

【透析前の検査所見】
BUN 121 、Cr 12.1、 尿酸 12.4、 Na 138、 K 5.5、 Cl 109、Ca 8.4、 P 9.9、PTH 1064。

自己管理を心がけているが、このような所見が長期続いている。患者の予後を改善するのに最も適した処置はどれか?

  1. アロプリノールの投与
  2. ビタミンDの増量
  3. 抗ヒスタミン薬の投与
  4. アルミニウムゲルの投与
  5. 副甲状腺全摘および自家移植術

正解:e(コントロール不良の二次性副甲状腺機能亢進症に対する唯一の根治療法である。)

解説:

  1. 尿酸値を下げても予後には無関係
  2. Caも上昇してしまい、CaとPの積が上昇する
  3. 二次性副甲状腺機能亢進症の改善により掻痒は 改善することが多い
  4. Pは改善するが、アルミニウム脳症のリスク有り

著名なPTHの高値が見られる慢性腎不全、つまり二次性副甲状腺機能亢進症である。掻痒感と治療抵抗性の腎性貧血は、二次性副甲状腺機能亢進症で説明できる

 

コウメイ:読者の方は下記のように疑問に思ったようです。

読者からの質問

下線部分の理由がわかりません。

また、bの選択肢はなぜいけないのでしょうか。PTH高値が持続し線維性骨炎が発症するのを血中Caを上げることで予防できるのかも?と思いbとeで悩みました。解説をお願いします。

 

コウメイ:それではきちんとした解説をしていきます。 

a.アロプリノールの投与

透析後も尿酸値が高ければ投与することがあります。ではなぜ正解にならないか?

透析患者の尿酸値を下げたからといってそれほど予後が改善するわけではないからです。

 

b.ビタミンDの増量

この患者の血液検査をもう一度見てみましょう。Ca 8.4、 P 9.9、PTH 1064 (透析前)であるので、Caは正常、P、PTHは高値です。

ビタミンDはCaを上げるために投与しますが、Caは正常なので増量の必要はありません。

もうひとつビタミンDを増量してはいけない理由があります。ビタミンDには腸管でCaとPの再吸収を促進する働きがあります。その結果、Pまでも上がってしまいます。本患者ではPが高いので下げる必要があります。ビタミンDを増量するとPがさらに上がってしまいます。ですので、この選択肢が正解になることはありません。

 

c.抗ヒスタミン薬の投与

掻痒感があるので抗ヒスタミン薬の投与はしてもいいです。しかし、予後にはあまり影響しませんので正解にはなりません。

 

d.アルミニウムゲルの投与

アルミニウムゲルはPと吸着する作用があるので、Pが高い患者に使用されていました。

 

学生B:じゃ、これが正解ですね。

 

コウメイ:しかし、アルミニウム脳症などの重篤な副作用が出現することが分かりました。そのため透析患者での使用は禁忌となりました。ですので正解にはなりません。

現在はアルミニウムゲルではなくセベラマーというPを吸着する薬が使用されています。

セベラマー

 

e.副甲状腺全摘および自家移植術

二次性副甲状腺機能亢進症はある程度進行すると、P、Caをコントロールしても治らなくなってしまいます。

ではどうすればいいのか?副甲状腺を外科的に取るしかありません。しかし、全てをとってしまうと全く働きがなくなってしまうのでそれはそれで問題です。そのため一部体に残す必要があります。多くの場合、前腕に移植することが多いです。

 

学生B:なぜわざわざ前腕に移植するんですか?めんどくさいな〜。首に残せばいいじゃないですか、首に!!

 

コウメイ:術後、副甲状腺機能亢進症が再発することがあり、その時は再手術が必要になります。首には大事な血管や神経がたくさんありますがまた首を切りたいですか?

 

学生B:前腕がいいです!!

 

コウメイ:素直でいいですね。

 

貧血が治りにくい

ちなみに、二次性副甲状腺機能亢進症があると、貧血が治りにくいことが知られています。それが下線部の意味です。詳しい機序は分かっていないと思います。

以上で解説は終わりですが、納得されましたか? 今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)