拡張型心筋症と虚血性心筋症との見分け方 〜心エコーは有用か?〜【107I7】

コウメイ:拡張型心筋症と虚血性心筋症との見分け方について読者から質問をいただきました。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

医師国家試験107I7

拡張型心筋症と虚血性心筋症の鑑別に最も有用な検査はどれか。

a 冠動脈造影
b 心エコー検査
c Holter心電図
d 安静時心筋血流SPECT
e 血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉測定

この問題に対し以下のような質問を持ったようです。

読者からの質問

a(冠動脈造影)が正しいのは分かりますが、b(心エコー検査)でもいいと思います。なぜa(冠動脈造影)のみ正解となるのでしょうか?

目次

1)心室が拡大していたら拡張型心筋症か?

拡張型心筋症と虚血性心筋症を心エコーでどのように見分けましょうか?もしかすると、

「心室の拡大が見られれば拡張型心筋症です」

と思われている方がいるかもしれません。

確かに拡張型心筋症で心室の拡大が見られます。しかし、心室の拡大が見られたからといって、拡張型心筋症とは限りません。

少し視点を変えてみましょう。虚血性心筋症は心エコーでどのように見えるでしょうか?

2)虚血性心筋症でも心室は拡張

実は虚血性心筋症でも左室の拡大が見られます。虚血に陥ると壁が弱くなり、圧がかかると外に押しやられ拡張します。その結果、拡張型心筋症のようになり、心エコーでの区別は難しくなります。

以上が選択肢b(心エコー検査)が正解にならない理由です。

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