甲状腺機能低下症 | 血糖値はどうなる?

最終確認日:2017/07/25 最終更新日:2017/07/25

コウメイ:甲状腺機能低下症と糖との関係について質問をいただきました。

読者からの質問

第81回医師国家試験B-25について質問です。「低血糖を起こしやすいのはどれか」という問題で甲状腺機能低下症は不正解となっておりました。 

ネット講座の解説では「甲状腺ホルモン不足は肝の糖新生を低下させるが、インスリン不足が抑制されることもあり、甲状腺機能低下症で低血糖はみられない」とありました。 

私としては甲状腺ホルモンは、コルチゾールなどど同じように血糖値を上昇させる作用があので、甲状腺機能低下症は低血糖を起こすと考えました。どこがいけないのでしょうか。ご回答のほど、よろしくお願いいたします。

 

コウメイ:「甲状腺機能亢進症で血糖値がなぜ上がるか」がポイントです。具体的に説明していきます。

甲状腺ホルモンは血糖値を上昇させる?

血糖値を上昇させるホルモンはいくつかあります。

  • グルカゴン
  • 成長ホルモン
  • 糖質コルチコイド
  • カテコールアミン

がそうです。

 

学生B:なるほど、なるほど。あれっ、甲状腺ホルモンは入っていないのですか?

 

コウメイ:甲状腺機能亢進症では確かに血糖値が上がることがありますが、それはホルモンの直接の作用ではありません。消化管の運動が活発になり、その結果糖が多量に吸収されるため血糖値が上昇すると考えられています。

血糖上昇に直接関わるホルモンではありませんので、甲状腺ホルモンが低下したからといってそれほど血糖値が下がるわけではありません。

これを読んで納得されたらここで終わりでいいです。しかし、中にはまだ納得されていない方もいるかもしれません。

消化管の運動が低下したら糖の吸収が減るだろ。だから、低血糖になるはずだ!!このようにお考えの方もいるでしょう。これは2つの理由で起きないと思います。

影響力が少ない

甲状腺機能低下症により、消化管の運動が低下し吸収が落ちたとしても糖の吸収が1/10とか1/100とかになるということは考えにくいです。

他のホルモンがカバー

今までの説明から低血糖にはならないと思いますが、百歩譲って糖の吸収が落ちて、少し血糖値が下がったとしましょう。この時、何が起こると思いますか?そのまま血糖値が下がり続けると思いますか?

もちろんそのようなことは起こりません。人間の体は恒常性を保とうとする働きがあります。血糖値が下がったら血糖値を上げるはずです。

先ほどでてきた

  • グルカゴン
  • 成長ホルモン
  • 糖質コルチコイド
  • カテコールアミン

の分泌が多くなり、糖新生を亢進させて血糖値を上昇させます。これらの理由から甲状腺機能低下症では低血糖が起きないと考えられます。

むしろ、甲状腺機能亢進症では一過性に高血糖になりますが、その結果インスリンが多量に分泌され低血糖になることがあります。問題はこれとのひっかけだったのかもしれません。

 

ネット講座の解説

ちなみに、ネット講座解説の「インスリン不足が・・」というのは私もよく分かりません。以前も言いましたが、ネット講座や問題集の解説は参考程度にするのがよいです。納得できない場合は必ず教科書で確認するようにしてください。このブログに関しても同様です。

今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)