ARDSで肺の線維化は起こるのか? 〜 古い問題は参考程度に〜【86A21, 107I33】

コウメイ(@kokusigokaku):ARDSについて以下の質問をいただいたので回答します。

読者からの質問

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)について、86A21では「肺間質の線維化」はきたさないとあり、107I33では「肺の線維化をきたす」となっています。「肺の線維化」と「肺間質の線維化」は違うものなのでしょうか?

 

まずは該当の問題を見てみましょう。86A21は某問題集の載っていた復元問題で、107I33は厚生労働省発表の実際の問題です。

第86回医師国家試験A21(復元)

ショック肺(ARDS)で正しいのはどれか。3つ選べ。

  1. 動脈血PaO2の上昇
  2. 肺胞気動脈血PO2較差(A-aDO2)の拡大
  3. 機能的肺動静脈短絡量の増加
  4. 肺胞の虚脱
  5. 間質肺の線維化
答え(クリック)

 

第107回医師国家試験I33

急性呼吸促迫症候群について正しいのはどれか。2つ選べ

  1. 肺の線維化をきたさない。
  2. 両側肺野の浸潤影を伴う。
  3. 肺血管透過性の低下を特徴とする。
  4. びまん性肺胞傷害の病理像を呈する。
  5. 敗血症が原因であれば予後は良好である。
答え(クリック)

b, d

 

ARDSは線維化をきたす

結論から言うとARDSは肺の線維化をきたします。「肺の線維化」も「肺間質の線維化」も同じでしょう。107I33は正しいです。ARDSの病理所見で線維化が見られます。

ただし、急性期には肺の線維化は起こらずに、発症から1週間以上経ってから起こるとされています。

古い問題は復元なので参考程度に利用する

86A21のように古い問題(特に80回台以前)はあまり気にしない方がいいです。 医学は日々進歩していますので、昔正しかったのが今は間違いだったり、昔正しくなかったのが今は正しかったりします。

また、古い問題はあくまで復元であり、本物の過去問ではありません。問題集の載っている問題が実際の問題とは異なることは十分に考えられます。

86A21の問題も「ARDSは全例肺の線維化をきたす」や「ARDSは初期に線維化をきたす」が本当の選択肢だった可能性があります。それなら間違いになります。

新しい問題から解こう

過去問を利用する際は新しい問題から解くようにしましょう。直近10年分を解いていないのに80回台や90回台の問題を解くのは効率の良い勉強ではありません。

より多くの問題を解きたい気持ちは分かりますが、例年直近10年分の問題すらきちんと終わらすことができない学生が多々見られます。まずは新しい問題を解き、余裕があれば古い問題にも挑戦することをお勧めします。その際は「古い問題は間違っていることもある」というのを頭に入れた上で利用するようにしてください。

以上で説明は終わりです。