血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の骨髄所見で巨核球は増加するのか? 〜検査の必要性〜

コウメイ:読者の方から血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)について質問をいただきました。

読者からの質問

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では血小板が消費されるため骨髄の巨核球は正常~増加と習いました。しかし、特発性血小板減少性紫斑病(TTP)の骨髄所見についての記述が見つかりません。TTPでも血小板が消費されるのは同じなので、巨核球は正常~増加と考えてよいのでしょうか?

教科書にはあまり書いてありませんが、TTPで巨核球は正常~増加するとの文献を見たことがあります。

以上で解説は終わりですが、なぜあまりTTPについての記載がないのでしょうか?ITPと比較することで考えてみましょう。

目次

1)ITP(特発性血小板減少性紫斑病)は比較的緩徐に進行する

ITPは紫斑や粘膜出血が見られることもありますが、検診でたままたま見つかることもある比較的経過のゆっくりした病気です。それほど重篤感はありません。

このような経過をたどる病気はいくつかあり、骨髄で巨核球が作られない病気(白血病、再生不良性貧血など)も鑑別にあがります。それらと区別するために骨髄穿刺し、巨核球がどうなっているか確かめることがあります。骨髄所見は診断に有用です。

※ITPは免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia)と呼ばれることもあります。

2)TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)は急速に進行する

一方、TTPは急速に血小板減少、血管内溶血、発熱、精神神経症状腎障害が起こります。血液検査では破砕赤血球が見られるのでしたね。

医師国家試験106D42_画像_TTPでの破砕赤血球_改変
画像:医師国家試験106D42より改変

基本的に症状と血液検査でTTPと診断できます。

骨髄検査を行うには一定時間じっとしていただき、当然ですが骨髄に針を刺さなければいけません。TTPの患者はじっとしているのはつらいだろうし、出血のリスクもあります。よって、できることなら骨髄検査はしたくありません。基本的に行う検査ではないので、あまり教科書には記載がないのでしょう。

中には診断に迷うケースもあり骨髄検査が検討されるかと思います。そういう方の報告を見ると、TTPで巨核球は正常~増加するとのことです。

3)骨髄検査のやり方【動画】

最後に骨髄検査の動画を載せておきますのでご覧ください。

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