急性膵炎で中性脂肪(TG)が上がる理由

コウメイ(@kokusigokaku):読者の方から急性膵炎について質問をいただきました。急性膵炎ではなぜ中性脂肪は上がるのでしょうか?まずは質問を見てみましょう。

読者からの質問

急性膵炎で中性脂肪(TG)が上昇する機序が納得できません。ネット講座のテキストに急性膵炎でCaが沈着する理由として、膵炎により多量のリパーゼが流出し、TGが脂肪酸とグリセロールに分解され、脂肪酸がカルシウムと結合するためと書いてありました。 

カルシウムが下がるくらい脂肪酸が上昇するのであれば、TGも下がると思うのですが、どうなのでしょうか。

 

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急性膵炎ではカルシウム(Ca)の沈着が起こる

急性膵炎では組織にCaの沈着が起こります。理由は質問者の方がおっしゃる通りで、脂肪酸がCaと結合するためです。脂肪酸とCaが結合したものは水に溶けにくいため沈着するのです。

脂肪酸はどこから?

このように、急性膵炎では脂肪酸とCaが結合し、組織に沈着します。それではこの脂肪酸はどこから来るのでしょうか?中性脂肪(TG)が分解され脂肪酸になります。つまり、中性脂肪 → 脂肪酸 + グリセロールの反応が起きて、脂肪酸が供給されるのです。 これだけ見ると中性脂肪は下がりそうです。

中性脂肪はどこから?

それではこの中性脂肪はどこから来るのでしょうか?

それは周りの脂肪細胞です。人間の内蔵には脂肪がたっぷりあります。皆さんも解剖の実習で経験されたと思います。あれが供給源です。 ですので「中性脂肪 → 脂肪酸 + グリセロール」の反応が起こったからと言って、中性脂肪が少なくなることはありません。

脂肪細胞から大量の中性脂肪が供給され、一部は脂肪酸に分解され残りは血中へ吸収されます。だから血液中の中性脂肪は上がるのです。以上で解説は終わりです。 

急性膵炎に関してはこちらも参考になるのでぜひご覧ください。

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